ウォンダ・セルダンは
剥き出しになったトランターの地表をひたすら歩く
それは日課のように
もう少しの未来
鋼鉄の大地が天の川銀河一の輝ける農業の星に塗り替えられることを予期しているように
緑の風を起こし
かつての祖父ハリと祖母ドースの逃避行のように
トランターを縦横無尽に
颯爽と
この小さい世界は銀河の縮図だと確信してもいるように
いずれ彼女は自らが銀河の再生の兆しを産み出す存在との予感を抱いて
この日は
恋に落ちた鋭敏なステッティン・パルヴァーとランガノ大学で落ち合って
新たな精神感応者のボー・アルーリンに会うために
幼い頃からユーゴおじさんの形見のような極素輻射体だけが遊び相手で内向的な性格が
今や亡きドースばあさんと瓜二つのキュートでクールな容貌の持ち主となって
紫に輝く希望の星ターミナス
緑と水の世界に沈むカビレを
ひたすら夢みる
キラキラとした瞳の美少女となって
ターミナス歴1000年に発刊された
アシモフの「心理歴史学」の教科書の表紙を飾る
プリマドンナとなっているにちがいない
yatcha john s. 「 ウォンダ・セルダン 」
『ファウンデーションの夢』 巻頭詩 5
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