209第27話続・何度も何度も繰り返されて
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第27話
続・何度も何度も繰り返されて
あらすじ
ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。
その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。
あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。
ダリバウからイフニアに行く途中、ファー・スター2世号の前に、12000年に一回というダリバウの太陽とダリバウの衛星ルエリスとの皆既日食が現れる。この現象は、ミーター一行に何の暗示になるだろうか?
アンセルムは、アルカディア・ダレルの小説を読んでいるペイリー・リャンにペイリーの父ダニールの歴史を、厳かに、そして優しく語る。ルエリスの名前の由来を。
漂泊のシンナックス人は今や地球から見た場合の星座レチクル座付近の奥の大マゼラン銀河にさらなる次のターゲットを決めて、このダリバウやイフニアから出て行ったことをペイリーとアンセルムは同時に了解した。
ミーターたちは、ハニスが投獄されているはずだったイフニアについた。
ハニスは無事だった。その時点までにアンセルムが、イフニア政府をコントロールして、政府トップと内務省にまで浸透工作に成功させていたからであった。
ただターミナス政府は、その偽装イフニア政府の実態にはまだ気がついていなかった。
ファウンデーション連合では、既にサイレント革命(ペイリー・リャンがヤマブキ色のハンカチをミーターに捧げたのをきっかけとして、『ヤマブキ革命』と言われる)が徐々に進んでいった。
それでも一つの危機的状況は依然として残った。改造帝国辞典編纂図書館が破壊されるとイルミナの機能が停止してしまうのだ。
それを阻止するには二重のパスワードによるアンロックをされてしまうまでに時間霊廟のコントローラーと改造帝国辞典編纂図書館のコントローラーを同時にファー・スター2世号のコンピューターに移行させなければならない。
それにはある移行措置が必要だとアンセルムは言う。
しかも、その移行措置に必要な操作はミーターと関係があると言うのだ。
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ペイリー その改造帝国辞典編纂図書館からファー・スター2世号に移行させるアンロックの術(すべ)があるのですね?
アンセルム 左様。ただこれにはアルカディアの秘宝の一つが必要なのですよ、ペイリーさん。
ペイリー 秘宝?
アンセルム ペイリーさん、それについては、直接は知らないのですよ。ただずっと今まで推論してきましたが、ミーターさんだったら、それについては知っているのではないかと。
ただし、これもまたわたくしの拙ない推論ではありますが、もしその移行措置を講じると同時に、今までとは違ったある異変が生じる、という可能性があります。
ペイリー そのある異変とは、アンセルムさん、もう少し教えていただけないでしょうか?
アンセルム それについて、やっと昨夜、気がついたばかりなのですよ。
ミーター と申しますと?
アンセルム 先日ペイリーさんがダリバウの太陽の月食の淡い光を受けてアルカディアさんの小説をお読みになられ、涙を流されておられた。
その光景の意味が、少し経ってから、わかったのですよ。
ペイリー わたしの涙で?
アンセルム そうです。前にもお話ししましたようにあの月食は12000年に一回起こる超宇宙現象なのです。
ハニス ということは、12000前と何か関係があると言うのですね?
アンセルム 図星です。ルリエスの伝説です。
ご存知のように、ルエリス思想は、不思議な物語からはじまっております。
ハニス そう、あのルリエスが影響を受けたというあの伝説ですね。
アンセルム 左様。その12000年前とは銀河暦では、500年です。ちょうど銀河帝国がやっと銀河全域にその支配権を伸ばしつつあった時期の頃です。その出来事というのは、「身代わりの天使が甦った」、というのです。
ハニス それは確か、銀河暦500年頃と聞いている。ロドリック卿、その時に前回のダリバウに日食が起きている。
アンセルム その通りです。ペイリーさん、あなたが舷窓でお読みになられておられた小説のタイトルは?
ペイリー 『続・何度も何度も繰り返されて』です。
アンセルム その小説は、もちろん、アルカディア・ダレルが書き残したものには違いないでしょうが、ミーターさん、その発刊年はご存知ですよね?
ミーター 知ってますとも。忘れるはずがないではありませんか?
彼女がなくなる1ヶ月前です。それを一週間で書き上げました。
それは、たしか、その小説とは、アルカディアがドースさんの夢を見た内容が中心になっていると言ってました。
そして彼女が以前書いた本になかった欠落の部分が、それで埋まった、と喜んでいました。
アンセルム それだよ。それをペイリーさんは、読みあげてくれたのです。
ペイリー ロドリックさん、それとわたしのこととがどう関わりがあるのですか?
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