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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第34話 ドース、ふたたび

2023-02-22 18:53:53 | エピローグ
216第34話ドース、ふたたび
ミーターの大冒険 
第九部 
エピローグ
第34話

ドース、ふたたび

おおまかな銀河史

 本編を繙(ひもと)く前にこの物語に至る歴史の概要をお示しすることは読者には有益になるでしょう。


前史

地球暦12500年=銀河暦元年
 トランター帝国、銀河帝国となる。

銀河暦500年ごろ
 身代わりの天使出現。

銀河暦900年ごろ
 最後の地球残留人(ニフ人)、地球を去ってアルファ星に移住。

銀河暦2000年ごろ
 ダニール・オリヴォー、イオス星にロボット修理・製造工場を建設。

 偉大なるルエリス、穏和な統治システムを提唱。

銀河暦8789年
 惑星リゲインの「文芸復興」、8年で破綻。

銀河暦11865年
 女性型ロボットドース・ヴェナビリ、イオスで製造。

銀河暦11867年
 銀河系外の大マゼラン銀河の植民惑星が放棄される。

銀河暦11988年
 ダニール・オリヴォー、デマーゼルと名乗って、銀河帝国の宰相となる。

 クレオン一世、ハリ・セルダンの誕生。

銀河暦12028年
 ダニール・オリヴォー、首相を辞任。後継にハリ・セルダンを指名。

銀河暦12066年
 ダニール・オリヴォー、地球探索。
 
 ダニール・オリヴォー、ガイアを計画。

銀河暦12067年=ファウンデーション暦元年
 ガール・ドーニックら百科辞典財団、ターミナスへの計画決定。

 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。

 ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。

 ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。

銀河暦12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。

銀河暦12040年 
 ウォンダ・セルダン生まれる。

銀河暦12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。

 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦12067年 

 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。

 ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。

(ほぼデイヴィッド・ブリンの銀河史の概略に従っております。)

あらすじ

 ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。

 その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。

 あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。

 ダリバウからイフニアに行く途中、ファー・スター2世号の前に、12000年に一回というダリバウの太陽とダリバウの衛星ルエリスとの皆既日食が現れる。この現象は、ミーター一行に何の暗示になるだろうか?

 アンセルムは、アルカディア・ダレルの小説を読んでいるペイリー・リャンにペイリーの父ダニールの歴史を、厳かに、そして優しく語る。ルエリスの名前の由来を。

 漂泊のシンナックス人は今や地球から見た場合の星座レチクル座付近の奥の大マゼラン銀河にさらなる次のターゲットを決めて、このダリバウやイフニアから出て行ったことをペイリーとアンセルムは同時に了解した。

 ミーターたちは、ハニスが投獄されているはずだったイフニアについた。

 ハニスは無事だった。その時点までにアンセルムが、イフニア政府をコントロールして、政府トップと内務省にまで浸透工作に成功させていたからであった。
 
 ただターミナス政府は、その偽装イフニア政府の実態にはまだ気がついていなかった。

 ファウンデーション連合では、既にサイレント革命(ペイリー・リャンがヤマブキ色のハンカチをミーターに捧げたのをきっかけとして、『ヤマブキ革命』と言われる)が徐々に進んでいった。

 それでも一つの危機的状況は依然として残った。改造帝国辞典編纂図書館が破壊されるとイルミナの機能が停止してしまうのだ。

 それを阻止するには二重のパスワードによるアンロックをされてしまうまでに時間霊廟のコントローラーと改造帝国辞典編纂図書館のコントローラーを同時にファー・スター2世号のコンピューターに移行させなければならない。

 それにはある移行措置が必要だとアンセルムは言う。

 しかも、その移行措置に必要な操作はミーターと関係があると言うのだ。

 そしてペイリーの流した涙にも。

 アンセルムは、おもむろにウォンダの3つのシリンダー・ペンダントについて語り出す。

 そして、彼の半生を語りはじめた。
 
 アンセルムは、いよいよ4人に分担して行動するように促す。

 ハニスとペイリーはターミナスのモーヴに向かう。

 そしてターミナスの帝国辞書編纂図書館の役割は、完全に終了した。暫定的に帝国辞書編纂図書館(イルミナ)の機能はファー・スター2世号のコンピューター内で機能し、新たなリーディング場所に近いうちに再設置される。

 方や、ミーターとアンセルムは、イオス星のドース・ヴェナビリとレオナルド・セノビアレッラに面会していた。


216

(イオス星のロボット製造・修理工場の一室)

ドース ミーターさん、アンセルム・ロドリックさん、ようこそイオスへ。お二人を第零法則グループに代理代表として正式に歓迎いたします。

ミーター 有り難うございます。ふたたびお会いできて嬉しいです。本当に光栄です。
 ご報告が銀河の星くらいあります。

ドース そうですね。ミーターさん、よくなさいました。太陽系の地球再発見。
 我が盟主の心を動かし、歴史消滅以前の全銀河の歴史を再始動されました。
 我が盟主はミーターさんのような後継者を求めておられたのですが、亡きアルカディアさんの聡明なご決断を快く受けとめられ、地球の月にまで誘導して、地球の放射能汚染の除去を成し遂げ、大気と水の惑星へと戻されました。
 もちろんこの快挙はミーターさんのお手柄ですが、その達成にはアルカディアさんの熱意によると我が盟主が受けとめたからです。
 新たな銀河の時代の到来です。
 
 そして、これからどのような銀河のヴィジョンを希求していくかが問われます。

 そして、ようこそアンセルム・ロドリックさん。
 あなたの賢明さと広く深い見識によって、古きファウンデーションが生まれ変わろうとしています。
 あなたは裏に日向にジスカルド・ハニスさんを援助し、現ターミナス政権を丸裸にして下さいました。
 
 篤く御礼申し上げます。

 あなたの見立ての現ターミナス政権の寿命は、あと5年ということはご卓見です。
 間違いありません。トレヴァイズとペラロットの放逸が、皮肉にもターミナスの没落になります。

アンセルム ドース殿、お初にお目にかかることを許されて光栄至極です。わたくしの微力な行為に対してのご評価、恐縮であり、心から感謝いたします。
 そしてこれらのことは、ミーターさんを初め、ペイリーさんを派遣された不死様のご意向のおかげかと存じます。
 
 なにより、わたくしは、ご存知であられますように、亡きアルカディア様のご意向をただなぞっただけでございます。

 そして、今回肝心要のわたくしのあなた様へのご謁見は、アルカディア様の御魂のご復活ともいうべき、ペイリーさんへの遷移を寿(ことほ)ぐことです。

ドース そうでありましょう。もちろんアルカディアさんの甦りということではありませんが、正真正銘な意味で引き継ぐ人間としてペイリー・リャンを盟主は養育いたしたのでしょう。

 おそらくペイリー・リャンは、そのよしを心より引き受けることでありましょう。

 ペイリーは、ここにおられるミーター・マロウを慕っておられますし、引き継がれたイルミナを敬っておられますからね。
 もちろん、アルカディアさんの魂といっても、本来のペイリー元来のキャラクターが消されるということではありませんからね。

アンセルム 改めて申し上げる必要はございませんが、かねてからの新たなファウンデーション連合の中枢をイフニアに移転したいと思います。
 そしてかつての銀河帝国の首都のトランターの役割をサンタンニに移転したく思っております。
 そこにファー・スター2世号に暫定的に取り込まれた元帝国辞書編纂図書館の中枢コンピューター兼データバンクを、新たにサンタンニ図書館として移行させます。

 いかがでしょうか?

ドース アンセルムさん、はっきりとお断りしておきますが、私共第零ロボットグループには、そんな権限はもとより授かっておりませんし、我が盟主も同じ立場です。すべて聡明なあなた方にご選択におゆだねしております。
 改めてのご報告なども必要はありません。
 でも、折角のご報告を、深く受け止めさせてもらいます。感謝ですよ、アンセルムさん。

アンセルム なんと、まあ、畏れ多いことです。なんと、言ってよろしいか思い浮かべられないほどです。

ドース アンセルム・ロドリックさん、あなた様は、もうひとつのことをこの私にご相談されるために来られたのでありましょう?

アンセルム なんと!


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