129第2話文明の死滅
ミーターの大冒険
第六部
オーロラ
第2話
文明の死滅
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない謎の天体に遭遇する。
そのとき、突如その天体から通信応答を求めて来た。
それは、ガイアの長老ドムからであった。彼の自己紹介は「わたし/わたしたち/ガイア」であった。ミーターはあらかじめおおよそのことは了解していたように質問していった。
ドムは、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを明かす。
人類の歴史消滅がこの時点から歴史復活のフェーズに転換した、と理解してもよい。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着くのであったが、イルミナはガイアの地表に降り立つことができなかったことに少し不満を洩らす。
そうこうしているうちにファー・スター2世号はオーロラ星の極光を全面にとらえ、二人(?)は絶句する。
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ミーター オーロラにはオーロラが似合うなぁ!
イルミナ それはそうですけど、ミーターさんの表現は論理学でいうトートロジーですよ。まあ、人間社会では、強調する場合によく使う表現形態ですけどねぇ。
ミーター また減らず口が始まった。お前も人間社会の女性に特有な思考形態だよな。人を貶(けな)すその癖、妙に僴に障るんだよな。
それはそうと、「ポール・シフト」?
イルミナ オーロラが発生する原理は、惑星自体に磁気があるからよ。その磁気の発生原因は、惑星球体内でどろどろした金属(主に鉄)が内核にあり、それを取り巻く外核(マントル)が対流しているせいなの。それをスピン理論といって、惑星の自転にも影響していると考えられているわ。
ミーター その磁場で太陽風の放射線を防いでいるっていうことか?
イルミナ そうよ、まるでその惑星が息をして生きているって感じかな。
ミーター イルミナ、それで、「シフト」については、どうなんだい。まだ説明は不十分じゃないか?
イルミナ 今から話すところよ。
ところが、この惑星磁場は不規則に反転し、ずれるの。地軸が大幅にずれたり、時には逆転することもあり得る。その時期も周期的ではないし、その磁場の強弱も一定ではあり得ない。その変動期は突然の時もあって、地表に存在する生き物は多大な被害を受けるわ。しばしば絶滅もあるわ。恐ろしいことね。
ミーター それが「シフト」か?
イルミナ それから、「センター・シフト理論」ね。
このポール・シフトから文明の死滅、あるいは移動、変遷という概念が生まれたわ。ある文明は必ず、その特質の固有性のせいで、内部矛盾がその構造自体を破壊する、という理論よ。
ミーター ということは、銀河全体にも、その理論は適応する、っていうんだな、イルミナ。
イルミナ そうよ。その通りです、流石、我らのボス。
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