32第7話3人のジータ
ファウンデーションの夢
第五部
Tee Tree
第7話
3人のジータ
物語の大枠
第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言
第五部「Tee Tree 」の大枠
26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション
あらすじ
ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。
それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。
ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。
ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。
ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。
ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
そして親しげにガールに話しかけてくる。
無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
再生の命というものなのであろうか!
ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。
それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。
そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。
グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。
彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。そのグレディアの娘アルカディア(後のミーターの主人アルカディアとは別人)に敬意を払い、親交の絆を絶やさなかった貿易商人がいた。彼の名は、ポニェッツ。後にミーターの地球復興の大事業に連なる基礎になる活躍をすることとなる。
その後、アルカディアとその娘アルシアは、ターミナスな人口の過剰問題を慮って、スミルナに移住する。そこで世話になったのが、馬の首暗黒星団付近のネフェロス星の最高貴族の血脈をもつバイロン・ファレルであって、当時、サマーセックの独裁政権に大して反対派の運動員をしていた。
バイロンは、アルシアを妻に迎え、サマーセック政権を倒し、スミルナをファウンデーション連盟の一員にさせた。その後は歴史学者として、先祖がネフェロス星から携えて来たと思われる『ジョン・ナックの歴史思想書』という文献を再発見して、その解読に専念する。
アルシアは娘を授かる。彼女は母の名前をつける。また不思議にも母娘は『児童のための知識の書』なる本を見つける。
「断捨離」の意味は、後のアルカディアと彼女の友人であり、ロボットであるミーターによって、詳しく明らかになる。読者の皆さんのため、ちょっとだけサービスさせて頂きますと、人類の生存には、既存の財産を最小限にして、次の段階に進めるのには、移動しなければならない、という「新しさと移動」の哲学の要諦が求められている、ということです。
一度、ミニマリストやノマドについて、考察あれ!
アルカディアは母アルシアにターミナス帰還の提案をする。
ここでは、ホバー・マロウの活躍は述べないが、ご興味ある読者は、是非とも、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』を繙いて頂きたい。
ここは時代は下って、ホバー・マロウの娘ジータ・マロウの時代の話である。
32
「コレル共和国は無条件降伏した。そして、ホバー・マロウはファウンデーションの人々の心の中に、ハリ・セルダンおよびサルヴァー・ハーディンに次ぐ地位を得た。」(『銀河百科辞典』)
ジータ・バー 会えて嬉しいですよ。ジータさんね。私もジータ。ジータ・バー。私はあなたより歳はずっと上ですねよ。
短い手紙でしたけど、よく来てくれましたね。
ジータ・マロウ(ベリス) どういたしまして。アルシアおばあちゃんが、行きなさい、って言ってくれたの。シウェナにも来たかったの。お父さんもよく言ってたわ。いい人がいたって。あなたのお父様ね。オナム・バーさん。今はその息子さん、あなたのお兄様がこのコレル地域の総理大臣なのね。
ジータ・バー(マルレイラ) それを言うなら、あなたのお父様ホバー・マロウさんは、この星でも、コレル地域共和国(今ではファウンデーションの一部)全体の人々にとっても英雄でしょう。お父様にもお会いして、お礼が言いたいわ。
でもね、実はあなたはね、お父様の単なる代理人ではないの。私は二つの理由で、あなたにこの星シウェナに直に来てもらって、お願いしたいことがあったの。
その一つ目は、この星にあなたのおばあ様が始められた、アグロフォレストリーを導入したいのよ。あなたからその第一人者としての能力と知識を学ばせてもらいたいの。
もう一つと言うのはね。私は、この星で内乱があったとき。家族が散り散りになった時ね、ある女の人に命からがら助けられて、トランターに連れて行ってもらって、ある家族にお世話になったの。今、この家に来ているの。ご紹介するわね。そのご家族の娘さんジータ・パルヴァーさんよ。あなたと同い年かも。
yatcha john s. 「三人のジータ」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます