56第10話二人の全権大使
ファウンデーションの夢
第七部
アルカディア・ダレル
第10話
二人の全権大使
あらすじ
アルカディアの長い家出の休暇が始まろうとしていた。それはモーヴ市に隣接するアルティメット空港からの出来事であった。が、それが全銀河を揺り動かすことになる。
はたして、アルカディアの密航の目的とは?
アルカディアは、カルガンで叔母のカリアに出逢う。しかしカリア・パルヴァーは、第2ファウンデーションのエージェントだった。
しかし、アルカディアは、非感応者であるアルカディアの目の奥を見つめるカリアの眼差しを、拒絶する。
カルガンがダゼンダを襲撃した。
一農業星に凋落したトランター(400年前は天の川銀河の中心)の農業組合長のプリーム・パルヴァーは、カルガンとの取引の交渉のため、また娘のカリアに久びさに会うためカルガンに来ていた。
戦争の勃発で商談は中止。やむ無くトランターに帰ろうとして、宇宙空港にいたとき、カリアから逃げてきたアルカディアと遭遇、彼ら老夫妻はアルカディアをトランターに連れていくことにした。
すでにパルヴァーは、この少女が自身の孫であることは承知していた。
アルカディアは、戦時下であるため、銀河定期便のスペース・シャトルバスに蛸部屋しか割り当てられなかった。
そこで、アルカディアは、ミーターを相手にカリアの正体やホバー・マンの変身ぶりの事情を理解する。また戦争終結の策にも考えが及ぶ。
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ターバー アルカディア、お帰り!
いや、トランター全権大使、ダレル嬢。
お陰で、ファウンデーションの全面勝利だ。
ご覧のように、銀河はじまって以来の大パレードだ。何しろ戦勝記念、ファウンデーション創立記念、ドーニック誕生記念、アルカディアの15歳誕生会、そしてトランター全権大使の歓迎祝賀会が重なったからな。
アルカディア ターバーさん。他のみんなは?
ターバー 君のお父さんとセミック博士は恥ずかしがって来ない。
マンはダゼンダからもうこのスペースポートに到着する予定だ。
えへん、私はモーヴ行政府を代表して歓迎委員長を仰せつかった。
アルカディア ターバーさん、ホントは私も、断ったの。
心でこうなれ、と思っただけなのよ。
カルガンのカリア様には宇宙電報で、マン叔父さんをダゼンダに赴かせて、ダゼンダとファウンデーションでカルガンを挟撃するよう説得に行くよう頼んだけれどね。
農産物輸送支援の責任者、プリーム・パルヴァーさんが突然、下痢になって、代わりに行ってくれと頼まれたもんですから。
ターバー アルカディア、君は、念力的直感能力に長じているのは、前から知っていた。トランも常々そう言ってた。
それにしても、全てうまくいった。君の貢献は歴史的だ。全ファウンデーション放送局で称賛している。
ホバー・マン ターバー、今着いた。
アルカディアも一緒か?
それにしては、ダゼンダ及びカルガン両政府代表、ホマー・マン様を歓迎してくれるには、派手すぎないか?
ターバー ホマー、お前は何か勘違いしてないか!
お前なんか誰も歓迎してはいない。
お前、ポートの入管のゲートを潜った時、何か衝撃、受けなかったかい?
おめでとう、ホマー・マン。無事に元のお前に戻ったんだからな。トランの「脳波コントロール解除機」のお陰だよ。
マン そ、そんなに俺のこと、みんな馬鹿にしやがって。
金輪際、言うことなんて聞かないからな。
アルカディア、お前もだ!
アルカディア それはそうと、ターバーさん、アンソーアはどうしました。
ターバー それが、トランの機械にかけると言ったら、次の日から、行方を眩ましたんだよ。
yatcha john s. 「二人の全権大使」
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