219第37話ロブスターのクリーム煮
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第37話
ロブスターのクリーム煮
おおまかな銀河史
本編を繙(ひもと)く前にこの物語に至る歴史の概要をお示しすることは読者には有益になるでしょう。
前史
地球暦12500年=銀河暦元年
トランター帝国、銀河帝国となる。
銀河暦500年ごろ
身代わりの天使出現。
銀河暦900年ごろ
最後の地球残留人(ニフ人)、地球を去ってアルファ星に移住。
銀河暦2000年ごろ
ダニール・オリヴォー、イオス星にロボット修理・製造工場を建設。
偉大なるルエリス、穏和な統治システムを提唱。
銀河暦8789年
惑星リゲインの「文芸復興」、8年で破綻。
銀河暦11865年
女性型ロボットドース・ヴェナビリ、イオスで製造。
銀河暦11988年
ダニール・オリヴォー、デマーゼルと名乗って、銀河帝国の宰相となる。
クレオン一世、ハリ・セルダンの誕生。
銀河暦12028年
ダニール・オリヴォー、首相を辞任。後継にハリ・セルダンを指名。
銀河暦12066年 ダニール・オリヴォーの地球探索
ダニール・オリヴォー、ガイアを計画。
銀河暦12067年=ファウンデーション暦元年
ガール・ドーニックら百科辞典財団、ターミナスへの計画決定。
ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委 員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。
銀河暦12038年
ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦12040年
ウォンダ・セルダン生まれる。
銀河暦12048年
ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦12067年
ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。
ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。
(ほぼデイヴィッド・ブリンの銀河史の概略に従っております。)
あらすじ
アンセルム・ロドリックは、いよいよほかの3人に2組に別れて行動するように促す。
ハニスとペイリーはターミナスのモーヴに向かう。
そしてターミナスの帝国辞書編纂図書館の役割は、完全に終了した。
暫定的に帝国辞書編纂図書館(イルミナ)の機能はファー・スター2世号のコンピューター内で機能し、新たなリーディング場所に近いうちに再設置される。
方や、ミーターとアンセルムは、イオス星のドース・ヴェナビリとレオナルド・セノビアレッラに面会していた。
ターミナスのアルカディア農園の管理人ジム・ヘンダーはかねてよりアンセルム・ロドリックの指示に従って、かつてジスカルド・ハニス率いる自由銀河復興党を惨敗させたアルカディアそっくりのチクタク二万体をすでに回収し終えて農場の地下の格納庫に用意しておいた。
それらをペイリー・リャンの連絡によってターミナス全土に出動する手筈となっていた。
ペイリーとハニスがモーヴの元帝国辞書編纂図書館の地下に着いた頃、そのチクタクは全土に隈無く行進し、それによって全市民は、かつての代々のアルカディアの業績を思い出し、専制化した現政権に対して反旗を翻す。
それからモーヴの行政府を占拠した市民は一丸となって、政府軍がアルカディア農園を焼き払う目的で、アルカディア農園に進軍中、前方に燃え盛るコキアの丘( 紅い壁 )と後方の市民軍に阻まれ、海岸めがけて逃走した。
ハニスとペイリーは、悠々とアルカディア農園に戻った。
219
(アルカディア屋敷に向かう。)
ハニス ペイリーさん、「タバコ一本、火事のもと!」だなぁ、ありゃ!
ヘンダー、君にあの光景、見せたかったよ。
ヘンダー ハニスさん、大体は想像できますよ。ハニスさんの長い闘争がとうとう成功をおさめたと言うべきですね。
ハニス ヘンダー、そうぬか喜びは時期尚早だな。そう簡単には、あのブラノ、コデルらは身を引かないだろうよ。何かまた策略を講じて反撃してくることを想定しておいた方がいい。
ペイリー そうですね、彼らは相当しぶとく政権を奪取し続けるとみたほうがいいでしょうね。アンセルムさんも、あと5年ぐらいはあの政権は維持する、とお考えですから。
ハニス ヘンダー、この料理は格別だなぁ!なんと言う料理なんだ?
ヘンダー ハニスさん、これらの晩餐は、今夜のお祝いで、特別に用意いたしました。
料理人を、トランターから昨日、呼び寄せたもので、超特別に作らせました。
トランターでは、「ロブスターのクリーム煮」と言うらしいです。
ハニス 何だって、「ロブスター?」
何だって、トランターから?
ヘンダー はい、そうです。トランターのマイコゲン地区です。
調理前の実物をお見せいたしましょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ハニス なんと、こんな生き物が、美味になるっていうのか?
ペイリー ヘンダーさん、お願いします。その料理人をここにお呼びくださいますか。
ヘンダー かしこまりました。
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ペイリー あなた様が遥々トランターからお越しの方ですね。
イプセン・モルガン 左様でございます。
あなた様がかの、不死の従僕様の養女様のペイリー・リャン様。
ペイリー ペイリー・リャンです。
イプセン わたしは、イプセン・モルガンです。以後、お見知りおきを。
ペイリー あなた様は、第2ファウンデーションのエージェントですね。
今後、ターミナスの今の政権が転覆したあとの第1ファウンデーションと第2ファウンデーションの連繋、いいや融合の下準備のために派遣されて来られたのですね。
イプセン 左様です。当分、こちらにお世話になります。そして、こちらのヘンダーさんとご一緒にその目的達成に尽力させて頂きます。
ハニス なんと、リー・センターさんから派遣されて来られたと言うのですね。
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