SSF 光夫天 ~ 詩と朗読と音楽と ~ 

◆ 言葉と音楽の『優しさ』の 散歩スケッチ ◆

冬の詩 「冬のはじめ」

2015-12-18 12:22:09 | 「尾崎喜八を尋ねる旅」
ヒエヒエ感、満載。
今日の北の空(箕面市方面の空)

いよいよ冬の始まり。



「冬のはじめ」 ~ 自註 富士見高原詩集(尾崎喜八)より ~

黄ばんだものが黄いろくなり

赤いものが紫にまで深まって

日ごと木の葉のからからと散りつづく秋の林に、

私のしずかな仕事の昼と

きつつきの孤独のいとなみとが

世の中からいよいよ遠く

いよいよひろびろと淳朴になる。


大きなむなしさの中に明るく努めて、

探求の重くちいさい鎚をひびかせ、

つねに傾聴の心をひそめながら、

他の地平線にはあこがれず、

おおかたはこの西風と遠い南の太陽に、

十月の木々のひろがりを生きている。


【自註】
私はわずらわしくて利己的で醜い事の多い都会を後にここへ来た。
高原のここには自由と孤高の精神を歓んで迎える雄大な天地があった。

仕事も毎日規則的に出来、本も読め、好きな自然観察も無限に豊かな材料を前に思うがままだった。

妻と二人、新婚の頃を思い出して少しばかり畑仕事もやった。
昔ほどではないが鶏も飼い、花も作った。閑雅の中にも充実した日々。

これ以上の生活はとうてい考えられなかった。

広大な森の中、家のすぐ近くのコメツガの大木に、一羽のアカゲラが巣を造っていて、
それが毎日コツコツと音を立てては金槌のような嘴(くちばし)で穴を掘っていた。

私はこの美しいキツツキの勤勉な仕事ぶりと、孤高を持した雄々しい生活の姿に深く心を動かされた。
それ故この詩の第二聯では、私とこのアカゲラとがもはや分かちがたいものになっている。


アカゲラ(赤啄木鳥)

アカゲラ (赤啄木鳥、Dendrocopos major)は、キツツキ目キツツキ科アカゲラ属に分類される鳥類。日本では北海道に亜種エゾアカゲラが、本州、四国に亜種アカゲラが留鳥として周年生息する。四国での生息数はきわめて少ない。九州以南には分布しない。亜種ハシブトアカゲラはアジア大陸北部・樺太に生息し、春秋の渡りの時期に日本海の離島で観察されることがある。過去に山口県見島(1978年3月)、石川県舳倉島で観察された。(ウィキペディアより)

コメツガ

コメツガ(米栂、学名:Tsuga diversifolia)は、マツ科ツガ属の常緑針葉樹。日本の固有種。(ウィキペディアより)





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