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意欲の貧困について(1)

2011-11-05 21:39:17 | インポート
 一般的には、貧困とは経済的なものをいいますが、「意欲の貧困」とは、社会参加するための労働意欲がもてない状態をいうようです。労働意欲が無いのではなく、労働意欲を支えていく前提としての、経済的状況、人間関係、家族状況、教育レベル、職業スキルが無い状態にあり、単に「やる気がない」ということとは違うのだということです。
 仕事はあるのに、「働かない」のは、怠け者なのだ。だから貧しいのは自己責任だという論調がある一方で、適切な労働環境を与えられていないから「働けない」のであって、社会の在り方が問題だという見方もあります。
 私たちが自信を持って生きていくには、自分自身に対する神話や幻想のようなものが必要です。幼いときに両親から注がれる無条件の「愛情」は自分がかけがえのない存在として誕生してきたという気持ちを抱かせます。学習成績がよかったとか、運動会で1等賞を取ったり、読書感想文で表彰されたり、絵のコンクールや合奏コンクールで入賞した経験は他者よりも優れたものが自分にあるという誇りを持たせてくれます。
 一方で、努力が報われなかった虚しさや達成感の欠如、友人や恋人、両親、兄弟等のサポートの不足の中で育った場合、自分に自信を持つことが出来ず、「意欲の貧困」といわれるような状態になるのではないでしょうか。経済状況の悪化で、大人の社会に余裕が無く、そうした若者を温かく迎えて育ててくれる環境がありません。
 
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