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不幸なほうが居心地がよいと思ってしまう人

2012-08-29 00:02:13 | インポート
  「幸せな家庭はどれもみな似たようなものであるが、不幸な家庭はそれぞれに不幸の形が異なっているものである。」という有名な書き出しではじまるのは、ロシアの文豪トルストイの名作「アンナカレーニナ」です。
 人は誰も幸せを願っているように思えますが、 いくつかの理由から幸せになるよりも、不幸なほうが居心地がいいという人もいるようです。
(1)幸せを失うのが怖い
  幸せはいつかは壊れるものだ。それならば、最初から幸せにならなければいいのだと考えて、幸せになることから逃げたり、そのチャンス をみすみす見送ってしまい、自分には縁がなかったのだと言い聞かせて納得してしまう人がいます。
(2)幸せであることを認めると悪いことが起こる
  自分が幸せであることを認めると、何か良くないことが起こってその幸せが壊れてしまうような気がするので、本当は幸せを感じてもいいはずなのに、その喜びを表さないように努力する人がいます。
(3)不幸な方が居心地がよい
  無理して恋人と一緒にいるよりも、テレビをみながら一人でレトルト食品を食べている方が気が楽でいい。相手の気持ちがいつ冷めてしま うか、びくびくしたり期待を裏切られることがないからといって、幸せになるチャンスを見送ってしまう人がいます。
(4)幸せになることをタブーだと考える
  宗教的な考え方や倫理観などからから、この世にあって幸せになることはいけないことだと考える人がいます。
(5)そもそも幸せというものがどういうことか理解できない人
  幸せな状態にありながら、それに気づかない人。幸せだと分かってもそれをどう扱ったら良いかわからずに幸せから遠ざかってしまう人が います。

 確かに、幸せはいつまでも続くものではありません。幸せを失ったときに傷つきたくないから、いっそ幸せにならない方がいいと考えることもわからないではありません。 しかし、幸せが永遠でないように、不幸もずっと続くわけではありません。
 では、どうすれば幸せをきちんと自覚してそれを十分に味わうことができるのでしょうか。幸せの定義は、「心の底から満足している状態だ」ともいわれます。
 その様な状態はどのようなときなのでしょうか。詳しく知りたい方は、「こころのレシピ ~幸せと不幸せのルール」(クリストフ・アンドレ著 紀伊国屋書店刊)を読んでみてください。


どちらがより<不幸>でどちらがより<幸せ>か

2012-08-23 17:11:52 | インポート
 一度に重なってくる<不幸>と、あいだをおいてくる<不幸>では、どちらがより<不幸>に感じられるのでしょうか。また、その逆はどうなのでしょうか。そのことを科学的に調査した結果というのがある本に紹介されていました。
 まず、次の文章を読んでください。「あるところに姉妹がいました。ある日姉は車を傷つけてしまい修理代10万円かかることがわかりました。同じ日にうっかりして携帯電話をジーンズのポケットに入れたまま洗濯機を回してしまい、携帯電話が故障してしまいました。これに対して、妹のほうは車を傷つけてから2週間後に携帯電話をポケットに入れたまま洗濯機を回してしまいました。さて、姉と妹はどちらがより不幸だと思いますか。」 この質問をアンケートにして尋ねたところ、57%の人が「妹のほうが不幸だ」と答えたということです。つまり、<不幸>は一度に重なってくるよりも、あいだをおいてくる方が耐えがたいのです。
 じつは、これと同じアンケートは<幸せ>についても行われました。その場合は「姉は会社から特別ボーナス20万円をもらった同じ日に、宝くじに10万円当たっていたことがわかった。これに対して、妹の場合、会社から特別ボーナスをもらってから2週間後に宝くじに当たっていることがわかった」という設定でした。どちらが<幸せ>か尋ねたところ「妹のほうが幸せだ」と答えた人が63%だったということです。
 つまり、<不幸>と<幸せ>のどちらも、一度に重なってくるよりは、その頻度のほうが問題であるということのようです。

ストレスに麻痺するという残酷な救い

2012-08-20 15:00:46 | インポート
 ヒトは恐怖・驚愕の体験に遭遇するとノルアドレナリンを分泌し、闘争か逃避かの態勢に入り、ストレス体験を終息させるための行動に入ります。しかし、長いこと回避不能のストレスにさらされると、辛い感情や痛みの感覚を失い、ストレスを回避する行動を止めてしまいます。この無痛覚の状態は脳内麻薬様物質(オピオイド)の作用によるものといわれています。
 この脳内麻薬様物質(オピオイド)の分泌は、闘争も回避もできない深刻なストレスにさらされた生物には「最期にもたらされる残酷な救い」といわれています。精神活動の麻痺や感情鈍麻によって、完全な降伏と受身の態勢をとり、現実感のなさによって、生物はあらゆる痛みから解放されて静かに「捕食者の餌食となる」のです。
 「ランナーズ・ハイ」と呼ばれる状態がまさにこの状態だといわれています。長時間、身体に負荷をかけ続けることで、エンドルフィンと呼ばれる脳内麻薬様物質(オピオイド)が分泌されて苦しみが和らいでいくわけです。
 リストカット等の自傷行為や過食症の人が嘔吐を繰り返したりすることによっても脳内麻薬様物質(オピオイド)の濃度の上昇がみられるということですから、こうした行為は深刻なストレスから逃れるために無意識のうちに繰り返すものと思われます。
 ただ、この物質はその名のとおり、麻薬と同様に禁断症状があり、より強烈な刺激を必要とし、自分で自分の命を危険に晒したり、自分の身体や心を痛めつける行為等をなくしては生きていけなくなる危険はらんでいるといわれています。
 また、大脳辺縁系の扁桃体、海馬などにダメージを与えることで知られていて、扁桃体に損傷を受けた個体は、「恐ろしいもの」「いやなもの」に直面しても、避けようとしなくなるともいわれています。 
感覚を遮断することでしか我が身を守れない状態は、「救い」と言うにはあまりに過酷です。

なでしこジャパンと東洋の魔女

2012-08-10 13:34:45 | インポート
 なでしこジャパンの戦いは見事でした。ワールドカップの優勝で対戦相手に研究された中で、みごと準優勝を果たしました。まさに、感動をありがとうという気持ちです。
 なでしこジャパンの先発メンーバーの平均身長は162cmで、アメリカチームの先発メンバーの平均身長170cmと比べると8cmも低いのです。モーガン、ワンバックのツートップは、それぞれ173cmと176cmで、日本のツートップの大野は154cm、大儀見が168cmです。
 これまで戦ってきたカナダやブラジル、フランスチームと比べても日本チームの選手の高さや速さなどの身体能力では劣っています。
 それをカバーするためには、ボールコントロールの技術やパスワーク、献身的な働きが必要となります。1対1の勝負では負けても人数をかけて囲い込んだり、パスワークで翻弄して相手を崩すことが必要となります。勤勉でねばり強く、緻密さがなければなりません。そして、何よりもチームワークの良さがなければなりません。
 かつて、日本の女子バレーボールチームが東洋の魔女といわれて恐れられた時があります。東洋の魔女というのは、1961(昭和36)年に欧州遠征で22連勝した日紡貝塚女子バレーボールチーム(監督:大松博文)につけられたニックネームです。
 どんなバレーをしていたのかというと、当時どの国もしていなかった光攻撃や時間差攻撃といった方法に考え出しました。回転レシーブで徹底的にボールを拾いまくり、移動しながらスパイクを打ったり、おとりを使ってスパイクを打ったりして高さやジャンプ力で勝る外国チームを翻弄し続けました。1964年東京オリンピックでは同チームのメンバーを主体とした全日本で出場し、5試合で落としたセットは1セットのみという圧倒的な力で金メダルを獲得しました。ソ連との優勝決定戦では視聴率66.8%を記録し、スポーツ中継としては歴代最高となっています。しかし、高さや運動能力の勝る外国のチームに日本の戦術をことごとく研究され、取り入れられることにより、日本のバレーボールチームはなかなか勝てなくなりました。
  ロンドンオリンピックでなでしこジャパンが苦戦したのは、ワールドカップの優勝で日本の戦術が研究されたからに他なりません。今後、ドイツやフランス、スウェーデン等辛うじて勝てた相手が日本の戦術を取り入れたとき、女子バレーボールチームと同様の道をたどらないとも限りません。
 ただ、サッカーというスポーツの魅力は、バレーのように高さが絶対的なハンディとなることはなく、判断力や戦術、ボールコントロールの技術で打開できる部分が多いということです。今後のなでしこジャパンの活躍を心から願っています。
 資源の乏しい日本がにここまで経済成長できたのは、なでしこジャパンのように高い技術をもち、ひたむきに努力する勤勉さがあったからに他なりません。いま、私たちは、この国の新たなシステムをどのようにしたらよいか道を探しあぐねています。さまざまな国に強さの秘密を研究されたなでしこジャパンが今後どのように進化していくかということは、翻って、私たちがこの国をどのように進化させていくかということでもあるようにも思います。

コレステロールと心の病

2012-08-08 15:45:38 | インポート
 コレステロールは、動脈硬化の原因として、生活習慣病の大敵のようにいわれていますが、脳の働き、特に気分を安定させるためには必要な物質だといわれています。
 コレステロールは脳内物質の20~30%を占めています。これまで明らかにされているのは、神経伝達物質であるセロトニンを脳細胞に取り込むためには、コレステロールが存在していることが必要だということです。脳細胞のコレステロールが減少すると、細胞膜にあるセロトニンを取り込むレセプターの力が弱まり、その結果、細胞内のセロトニン量が減って、精神状態が不安定になるといわれています。
 コレステロール値が低い人達の群に、暴力的な傾向や自殺や事故死が多いという調査結果があります。また、東京都の調査によって、コレステロール値が低い人は、うつ病やうつ状態になりやすいことが明らかにされています。
 1990年に発表されたイギリスの調査によると、コレステロール値を下げることにより、「心筋梗塞」による死亡率は15%減少しまたが、逆に「癌」の死亡率は43%も増加し、自殺や事故死に関しては76%も増加し、全体的に死亡率が増加してしまったということです。
 コレステロールを減らすためにバターをマーガリンにすると、トランス脂肪酸の摂取により脳が悪影響を受け、ADD(注意欠陥障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)や認知症の原因になるともいわれています。
 コレステロールが高いほうが長生きだという調査もあるようです。さて、自己責任としてどちらのリスクを取ったらよいのでしょうか。

心の傷をどのように癒すのか

2012-08-02 15:11:33 | インポート
 ある本に、カンボジアで「未来の光という」孤児院を運営しているヌオン・パリーさんという女性の紹介がありました。彼女は、ポル・ポト時代(1975から1979年)に娘を殺され、自らの命も危険にさらされながら強制労働をさせれらていました。
 彼女は、自分と同じく過酷な経験から心の傷を負った女性のために、サイコ・セラピーセンターを開所して何人もの女性を救ってきました。いったいどのような方法により救ったのでしょうか。
 彼女はどの女性からも3時間かけて、それぞれの体験をじっくりと聴きました。場合によっては定期的に訪問して傾聴を重ね信頼関係を結びました。その後に、三段階のステップにより立ち直らせ、社会復帰に導くのです。
 まず第1が「忘れること」。刺繍や楽器の演奏、テレビの視聴などをしながら、過酷な経験を忘れる練習をするのだといいます。
 第2段階は「働くこと」。掃除や子どもの世話、あるいは専門的な職業に至るまで、なんでもかまいません。それは人間としてのプライドを回復するために必要なことだといいます。
 第3段階が「愛すること」。蒸し風呂をつくり、清潔な身なりになってもらい、お互いにマニキュアやペディキュアをしたり爪の手入れをする方法を教えます。自分がきれいだという感覚をもってもらいたいという理由です。また、お互いの身体に触れたり、ケアしたりすることで肉体的な孤立感から救いだし、感情的な孤立感を崩し、おしゃべりをしながら、少しずつを他人を信じることを覚えることをさせるといいます。
 最後に、「一番大事なこと」は、忘れること、働くこと、愛することが、3つの別々な技術ではなく、大きな全体の部分であり、それらは同時に、他の一部分として実践していくことで、再び世界へ飛び込んでいく準備が整うのだといいます。