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傲慢症候群(ヒュブリス・シンドローム)とは? №242

2016-07-21 15:37:50 | 日記
 英国の神経科医で政治家でもあったデービッド・オーエンによると、傲慢症候群(ヒュブリス・シンドローム)というのは、「権力の座に長くいると性格が変わる人格障害の一種」だということです。
 ヒュブリスというのは、「驕慢」とか「傲慢」とか「野心」というように訳されるギリシャ語の単語で、そのヒュブリスが人間の心にとりつくと、当人に限度を超えた野心を抱かせ、挙句の果ては、当人を破滅に導くと考えられていたそうです。
 「オレ様化する人たち~あなたの隣の傲慢症候群~」(朝日新聞出版)の著者で精神科医の片田珠美さんによると、その症状は次のようなものだということです。
①人の話を聞かない、②自らを誇示する、③人を威嚇する、④横暴になる、⑤同意ばかり求める、⑥自社開発主義症候群 
 こうした症状に陥る人達には、①自己愛が強い、②権威に弱い、③序列に敏感、④視野狭窄、⑤自己正当化、⑥現実否認、⑦自己顕示欲が強い、⑧意外に気が小さい等の特徴があるそうです。
 一生懸命頑張って望みの地位を手に入れた人たちは、自らが傲慢症候群の症状を呈していないか胸に手を当てて考えてみてください。
 不幸にして傲慢症候群にかかった人のもとで働いている人は、どうしたらよいのでしょうか。片田さんは、限界設定(リミット・セッティング)を適用することを進めています。限界設定(リミット・セッティング)とは、相手の様々な要求に対して、ここまではできるけれども、ここからはできないということをはっきりさせることです。

子どもに甘える親 〜親子の役割逆転〜 №241

2016-07-10 23:14:29 | 日記
 人は、甘えたい時に甘えられないと傷つくといわれます。甘えの欲求は、子どもが親に対して持つものばかりではありません。親もまた子どもに甘えたいという欲求を持っています。愛着理論をはじめとする早期母子関係理論を提唱したイギリス出身の精神科医ジョン・ボウルビィは、「親子の役割逆転」が子どもに与える影響について語っています。
 「愛情」というのは本来、相手を思いやることで、見返りや打算を求めないものですが、未熟で甘えの欲求が満たされていない親は、子供のために何かをすることに、子供から感謝されたいという動機を持っています。ですから、子どもが感謝したり喜ばないと面白くありません。時には、「あなたのためにしてあげたのに何で喜ばないの」と子どもを叱りつけたりします。
 年齢に関係なく、甘えの欲求を持った人は傷つきやすく、子どものちょっとした一言で不機嫌になり、怒り出します。すると、子どもは親の顔色を見て育つようになります。子どもは誰でも両親に気に入ってもらいという欲求がありますから、両親が何かをしてくれたら、たとえ、おいしくない料理でも満面の笑みで「おいしい」といい、プレゼントされたおもちゃが気に入らなくても「気に入ったふり」をして喜ばなくてはなりません。まさに、「親子の役割逆転」です。子どもが親の気持ちに配慮しなくてはならなくなっています。
 友達のお母さんの手料理を食べて「おいしかった」と、自分の母親に言える子は幸せです。傷つきやすい母親はこんなことを言うと怒りますから、従順な子はけっしてそんなことはいいません。
 「親子の役割逆転」をして育った人は、大人になってもその感情的記憶は残っているので、他人の好意を断ることができないと言われています。誰かを傷つけてしまうのではないかと恐れ、人前で自由に意見をいうことができません。そして、周囲に不機嫌な表情の人がいると自分が何かいけないことをしたのではないかと不安なります。
 私たちは、子どものためと言いながら、じつは、自分が子どもから感謝されたくてその行為を行っているのではないか、ともう一度よく考えることが大切なようです。