1日夜関東地方で発生した震度3の地震の影響で,JR東日本のダイヤが大幅に乱れ,特に東海道線や京浜東北線などは4時間ほど運転を停止して,安全確認を行っていたようです。
これに対して,「なんでもっと早く走らせないのか」等という苦情が殺到したとのことでした。
去年の脱線事故は,もう他人事ですか?
確かに,仕事帰りの時間帯に4時間も電車が止まった日には,怒りたくなる気持ちは分かりますし,私自身も切れてしまうかもしれません。
しかし,テレビのコメンテーターが寄ってたかって「もっと早く走らせることができるぞ」とJR東日本を批判するのはいかがなものかと思います。
批判の論拠は次の2点になるかと思います。
1 たかだか震度3の地震でなぜ4時間も止めるのか。
2 他の私鉄線は通常どおり運転していたのに,なぜJRだけは止めていたのか。
たしかに,たかだか震度3の地震では鉄道にはさしたる影響は与えないと「思い」ます。しかし,あくまでも「思う」であって,本当に無影響なのかは断言ができません。
逆に,震度3だからいいやあと思って運転させたところ,予想外の被害が発生しており,結果大事故になったとしたらどうでしょうか。誰1人「仕方ない」とはいわないでしょう。
安全を追求するためには,「たかが震度3,されど震度3」という対応をしたJRの方がむしろ正しかったのではないかと思います。
「他は動いているからJRだって大丈夫」という論拠も,全く同じことです。よそはよそ,うちはうちなのです。絶対安全とは言い切れません。
従って,これらの論拠を理由に批判をしているコメンテーター達は,明らかに「去年の事故のこと,もうお忘れですか。」といわざるを得ません。
では,JR東日本の今回の対応は,本当にすべて完璧といえるでしょうか。
実はJR側も,対応の悪さは認めていますが,JR側にも問題があるといえます。
安全性の追求はもちろん必要です。しかし,過度に安全性を強調してしまうと,逆に迅速性という点がおざなりになってしまい,結果的に顧客のためにならないということがあります。
今回の場合,120キロメートルに渡る区間を安全点検を人力でしかも徒歩や自転車のような専用車で行ったようです。一見すると丁寧な点検でよいのですが,これでは当然時間がかかってしまいます。
「たかが震度3」の論拠と若干矛盾することなのですが,経験則上,地震の震度と被害の大きさというものは,ある程度推測がつきます。そして,多くの論者がいうとおり,確かに震度3程度では,通常大きな損害は発生していないと推測されるでしょう。
従って,このような地震の場合は,安全点検を迅速に行える体制やシステムを導入しておくべきだったのです(安全点検を手抜きしろという趣旨ではありません。)。
例えば,軌道の安全性確保であれば,軌道車(電動やディーゼル機動のもの)を用いるなどして,ずれの有無を確認しながら,軌道車上から周囲の状況を目視することや,徐行運転による運転士がみた安全確認,さらにはポイントや踏切の異常の有無を一元的に把握できるシステムを備え(既にあるかもしれませんが),その上で,念のため再点検をするなどすれば,まだまだ迅速に安全点検が可能であったといえます。
今回の件から推測できることは,JR東日本には,災害時の点検マニュアルがワンパターンしかないのでは,ということです。震度7の場合と震度3の場合とは全く同じである必要はなく,それぞれに応じたやり方があるのではないかと考えます。そういう意味からすれば,まだまだ危機管理マニュアルに甘さが目立っているのではないでしょうか。
JR東日本側も,体制の不備を認め,今後は専用車を増設するなど検討するようですが,あわせて「危機管理マニュアル」も見直してほしいと思います。
すべては乗客の安全のため,という今回のJR東日本の発想については,私は賞賛の拍手を送りますが,一方で,危機管理マニュアルが単純一元化しているのではないか,という点については,今後さらなる改善を行い,迅速な公共交通の確保という視点も忘れないでほしいと思います。
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TB先一覧
http://imprezza-inada-1973.seesaa.net/article/12652679.html
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1682073/detail?rd
http://blog.livedoor.jp/cydle/archives/50471767.html
これに対して,「なんでもっと早く走らせないのか」等という苦情が殺到したとのことでした。
去年の脱線事故は,もう他人事ですか?
確かに,仕事帰りの時間帯に4時間も電車が止まった日には,怒りたくなる気持ちは分かりますし,私自身も切れてしまうかもしれません。
しかし,テレビのコメンテーターが寄ってたかって「もっと早く走らせることができるぞ」とJR東日本を批判するのはいかがなものかと思います。
批判の論拠は次の2点になるかと思います。
1 たかだか震度3の地震でなぜ4時間も止めるのか。
2 他の私鉄線は通常どおり運転していたのに,なぜJRだけは止めていたのか。
たしかに,たかだか震度3の地震では鉄道にはさしたる影響は与えないと「思い」ます。しかし,あくまでも「思う」であって,本当に無影響なのかは断言ができません。
逆に,震度3だからいいやあと思って運転させたところ,予想外の被害が発生しており,結果大事故になったとしたらどうでしょうか。誰1人「仕方ない」とはいわないでしょう。
安全を追求するためには,「たかが震度3,されど震度3」という対応をしたJRの方がむしろ正しかったのではないかと思います。
「他は動いているからJRだって大丈夫」という論拠も,全く同じことです。よそはよそ,うちはうちなのです。絶対安全とは言い切れません。
従って,これらの論拠を理由に批判をしているコメンテーター達は,明らかに「去年の事故のこと,もうお忘れですか。」といわざるを得ません。
では,JR東日本の今回の対応は,本当にすべて完璧といえるでしょうか。
実はJR側も,対応の悪さは認めていますが,JR側にも問題があるといえます。
安全性の追求はもちろん必要です。しかし,過度に安全性を強調してしまうと,逆に迅速性という点がおざなりになってしまい,結果的に顧客のためにならないということがあります。
今回の場合,120キロメートルに渡る区間を安全点検を人力でしかも徒歩や自転車のような専用車で行ったようです。一見すると丁寧な点検でよいのですが,これでは当然時間がかかってしまいます。
「たかが震度3」の論拠と若干矛盾することなのですが,経験則上,地震の震度と被害の大きさというものは,ある程度推測がつきます。そして,多くの論者がいうとおり,確かに震度3程度では,通常大きな損害は発生していないと推測されるでしょう。
従って,このような地震の場合は,安全点検を迅速に行える体制やシステムを導入しておくべきだったのです(安全点検を手抜きしろという趣旨ではありません。)。
例えば,軌道の安全性確保であれば,軌道車(電動やディーゼル機動のもの)を用いるなどして,ずれの有無を確認しながら,軌道車上から周囲の状況を目視することや,徐行運転による運転士がみた安全確認,さらにはポイントや踏切の異常の有無を一元的に把握できるシステムを備え(既にあるかもしれませんが),その上で,念のため再点検をするなどすれば,まだまだ迅速に安全点検が可能であったといえます。
今回の件から推測できることは,JR東日本には,災害時の点検マニュアルがワンパターンしかないのでは,ということです。震度7の場合と震度3の場合とは全く同じである必要はなく,それぞれに応じたやり方があるのではないかと考えます。そういう意味からすれば,まだまだ危機管理マニュアルに甘さが目立っているのではないでしょうか。
JR東日本側も,体制の不備を認め,今後は専用車を増設するなど検討するようですが,あわせて「危機管理マニュアル」も見直してほしいと思います。
すべては乗客の安全のため,という今回のJR東日本の発想については,私は賞賛の拍手を送りますが,一方で,危機管理マニュアルが単純一元化しているのではないか,という点については,今後さらなる改善を行い,迅速な公共交通の確保という視点も忘れないでほしいと思います。
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