あれは,あれで良いのかなPART2

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街がつぶれる

2006年02月11日 19時06分03秒 | 地方自治
竹中大臣の私的懇談会において,市町村における破綻処理を具体的に法制度化することを検討しているようです。この中では,首長や議員などの責任追及も可能とするとのことです。

いいんじゃない?

確かに,今でも市町村の破綻制度はあります。財政再建団体といいまして,簡単にいえば,支出の割合で借金返済率が20%を越えた場合,この団体と指定されます。そうなると,新規事業は原則凍結,住民サービスもミニマムなもの以外は停止,増税増収のため,税率アップや使用料の増額,さらに職員の給料の削減やベースアップ凍結などなど様々なデメリットが発生します。いうなれば,「市町村版会社更生法」という感じでしょうか。
過去には,九州の赤池町が,この団体に適用された例があります。
ただし,財政再建団体に指定されても,首長や幹部職員の法的責任は問われません。また,職員の解雇は原則としてできません。

一方,会社が倒産し,または会社更生法(民事再生法)が適用された場合はどうでしょうか。
会社更生法や民事再生法が適用される場合は,「会社の維持」に主眼がおかれます。したがって,まず儲からない事業の廃止し,経費を削減します。また,社長や役員はほとんど総入替をして,経営陣の刷新を図ります。さらに,従業員の給与削減や従業員自体の解雇を行い,人件費を抑制します株主についても,上場廃止などのリスクを負うことになります。
株主や,自分の損害は自己責任となる部分もある一方で,社長や役員らがいい加減な経営をしていたことが原因であると思えば,役員らに対する株主自身としての損害賠償請求を行使したり,株主代表訴訟によって役員の会社に対する損害賠償を求めることができます。
このような措置をすることで,初めて債権者に対して,一定債務の支払い猶予や免除をお願いし,長い目で会社の再生を行うわけです。

市町村の財政破綻の場合も,倒産のように消滅させることができませんので,会社更生法や民事再生法のように,「市町村の維持」を主眼においた再生計画が必要となります。
現状の財政再建団体の指定をうけると,前述のような制約を受けて財政再建に努めますが,現状では首長らの責任追及制度がありませんでした。
やはり,会社と同様に,首長らに対する責任追求制度を法定化する必要があるといえるでしょう。また,市職員の幹部クラスも取締役と同じですから,同様の責任追及を制度化する必世があります。さらに,議員についても,己の判断ミスによって市の暴走を止められなかったなどということで,責任追及を可能とするべきでしょう。
これに対して,「市町村の財政破綻は,必ずしも首長の責任ではなく,社会情勢でやむを得ない部分があるため,責任追及が可能とする制度は酷である。」という反論があります。
もちろん,市町村の財政破綻と株式会社の倒産を完全に同視することはできませんし,このような反論にも十分理由はあると思います。
しかし,株式会社の場合も,無条件に社長の責任が認められるわけではなく,アメリカで採用されている「経営判断の原則」によって,ある事業により会社が破綻したとしても,それを判断した当時,客観的に見てもその判断が妥当であると思われる場合は,必ずしも責任は問われないという考え方があり,日本でも一部その考えを取り入れています。
市町村の財政破綻における首長の責任を判断する際も,この「経営判断の原則」を適用すれば,「やむを得ない破綻」と「なるべくしてなった破綻」とを十分区別できると思います。そして,後者については,首長らの責任を認め,会社の場合同様,全財産を供出してでも責任を負うべきです。

会社の取締役や社長の給料が高いのは,常にこのようなリスクを負っているからです。とすれば,当然首長や幹部職員についても,高い給料をもらっている以上,このようなリスクを負うべきなのです。そして,このようなリスクを感じることで,多少なりとも「税金は他人の金」という発想を捨てて事業を考えることができるのではないでしょうか。

今回の私的懇談会の答申内容がそのまま法制化するとは限りませんが,いろんな問題点をちゃんと議論したうえで,法制化してほしいと思います。
ただ,これだけは言いたい。「会社と違って,市町村が破綻した場合,住民に対する負担は最小限となるような制度にしてほしい」ということです。
このような議論をする場合,とかく「住民の視線」を忘れがちです。これは,会社の株主とは次元が違いますから,この住民の視線を忘れることなく,今後しっかり議論をしてほしいと思います。

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