あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

少子化対策といいながら・・

2007年08月31日 02時23分22秒 | 事故
奈良県で流産しそうな妊婦を救急車で搬送したが,搬送先病院が決まらず,さらに交通事故にも遭うなどの不幸も重なり,残念ながら流産してしまったようです。
奈良県では,去年も同様のトラブルから妊婦が死亡してしまったという事故もあり,知事も再発防止策を検討するとのことでした。

奈良→大阪9か所断られ、妊婦の搬送先決まらず流産(読売新聞) - goo ニュース

施設よりもまず人の確保が大切

今回の問題,実は,いろいろな問題が複雑に絡み合っています。救急体制の問題,病院と救急隊の連携問題,病院間の連携問題,病床数,医師数などです。
したがって,再発防止を図るには,このすべての問題についてクリアしていく必要があります。しかし,それには時間がかかります。
私は,この中で「医師数」について,ちょっとだけ言いたいことがあります。
今回の問題の背景として,「産婦人科医の不足」があげられます。現在,医師試験合格者は増えています。つまり,医師人口自体は増加しています。ところが,産婦人科医と小児科医は減少の一途をたどっています。なぜでしょうか?
それは,「激務」であることと,「激務に見合う報酬がもらえない」ことにあります。
まず,激務については,お産はいつあるか分からないわけで,いわば24時間体制となります。また,医療事故が発生しやすいのは実は出産時なのです。事実,医療過誤訴訟の多くは,産婦人科関係となっています。そういう状態なので,若手の医師で産婦人科を希望する人が減少しているのです。
また,報酬については,診療報酬は,「治療行為」に対するものですが,その内容よりも「数」が報酬算定では重視されています。したがって,お産のように1人の医師が1人の患者に数時間付きっきりでも,診療報酬の点数は少ないです。それならば,むしろ同じ時間で「風邪っぴき患者」を20人見た方が圧倒的に報酬が高くなります。小児科が敬遠されるのも,子供に対する診療は大人よりも時間や手間がかかる割には,報酬診療点数に大差がないからです。
つまり,言ってしまえば,「産婦人科ではもうからない」,だからなり手が少ないのです。
「医者が金のことを考えるとはけしからん」などという意見もあるかもしれませんが,現実問題,医者だって人の子,自分の生活や診療所の経営を考える方が自然でしょう。当然,国同様「経営合理化」が最優先課題となり,経営圧迫の原因となる産婦人科や小児科は廃止するのが自然ということなのです。

この風潮,当然野放しにはできませんが,残念なことに厚生労働省は,現在このような診療報酬基準について,見直しは特に検討していないようです。
一方で,「少子化対策」を声高に叫んでいます。しかし,少子化対策には,当然の前提として「安心して子供を産める環境の整備」が求められます。
とすると,国としては,医師不足対策として,まずは「診療報酬の見直し」を可及的速やかに検討する必要があるでしょう。これも立派な少子化対策なのです。
救急車問題,今後もいろいろな問題に波及することでしょう。とにかく,1人の胎児の死を決して無駄にしてはいけません。

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コメント (11)
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