家のまわりを歩いていて、ふと気がついた立派なクモの巣と蜘蛛。堂々とした体躯にカラフルな模様。名にふさわしきジョウロウグモ。そしてまわりには衛星のようにたむろっているほこりのようなオス蜘蛛。蜘蛛の巣は、知らなかったが三階建てである。基礎の部分は細かな普通のイメージする同心円状にひろがる網目。そこから立体的に形作られている。そのトラップに絡め取られているのは、なんとスズメバチではないか。一刺し、一殺の恐るべきスズメバチが白い蜘蛛糸でぐるぐる巻きになっている。平和そうな田園風景の広がる秋の一日にこうした食うか食われるかの激しい命がけの戦いの繰り広げられていたとは。蜘蛛や蜂などはどれだけ生きるのか。すぐに迫り来る木枯らしを聞けば身は動きを止め、カサコソと風にもてあそばれ大地へ還っていくだろう。秋は特にいろんな生物たちの営みが、厳しく眼前に繰り広げられ、厳かな気分になる。