みどりきみどり空色

草花とそれにまつわるetc.

秋は重陽・菊人形だ

2008-10-21 22:22:31 | Weblog
 今年も菊人形展に行く機会に恵まれた。やや汗ばむような日差しの中、菊の品評や菊人形に親しんだ。
 御簾作りの展示場に菊花の鉢花が並べられているが、近頃の暑さ故か、花びらがしぼみはじめているのが垣間見える。素人目には区別がつかないが、金銀の短冊に金賞、銀賞と書かれた札が下がる菊には注目が集まる。
 接ぎ木で造るのか一鉢の中の菊が三本に枝分かれしそれぞれが桃と黄と白花に分かれているのもある。人手の造作が感じられすぎて、面白味はあるが菊本来の自然な感じは損なわれている様な気がしてあまり好きではない。
 今年のテーマは紫式部や源氏物語。去年より菊人形もふえていた。薄暗い中、菊人形達がいろいろポーズをとっていた。秋の明るい日差しから暗転して、平安絵巻の世界へ。ぎっしり織られた菊の花たちが精気を放ち、非日常の幻想へいざなう。
 菊の香に酔った後は、ふらふらと、会場真ん中にしつらえてある食堂よりのいいにおいにさそわれる。いなかびた簡単しつらえの海の家のような食堂での食事が用意されている。金額は大体600円。おすすめは、ちくわ、ごぼ天、たまご、あげ、こんにゃくのおでん。丼物たのんでも、おでんはデザートだ。素直に美味しかった。ここは、イタメシもフレンチもあっち向いてホイ。殺到するじさま、ばさまたちでごったがえしている。財布出す方も、食券売る方もよく似た年だ。自販券売機じゃなく人のふれあいで物事が回るからのろのろタイプにもあたたかい。遠足の子供以外、行き交う人ほとんどお年寄りだ。菊を楽しみ、空腹を満たし、なんだか、芝生で寝ころびたくなった。こんな平和なニッポンの秋がいつまでも続いてほしい。