歩音へ
おかあさんが今から言うことをよく考えて聞いていてね。
おかあさんは、今から15年前に阪神大震災っていう大きな
地震を体験したんだ。
そのときおかあさんは21歳でね、おうちの2階で寝ていたら
いきなりドンって衝撃が下から突き上げてきたかと思うと
そのあと、激しい横揺れに襲われたんだよ。
それでテレビを付けてみたら、大好きだった神戸の街が一瞬にして
めちゃくちゃに壊れてしまっていたんだよ。
そのときに、おかあさんの心も一緒に壊れてしまったんだね。きっと。
それでも、おかあさんは、友達のことが心配で必死になって、駅まで
走っていったんだ。それであの日、駅のホームで再び大きな揺れを感じて
歩音のおばあちゃん(おかあさんのおかあさん)を必死で呼びながら、
泣き叫んだらね、そのホームにいた知らないおばさんが抱きしめてくれたんだよ。
そのときほど、人のぬくもりが有り難かったことはなかったよ。
多分、一生忘れないと思うし、おかあさんももし同じ立場だとしたら、
迷わずそうすると思う。
それから、15年の月日が流れて、町並みもすっかり変わってしまったけど、
わたしは歩音に伝えていきたい。この、人のぬくもりというものを。
わんぱくでもいたずらっこでもいい。人に優しくできる子に育って欲しい。
それだけが、たった一つの宝物、歩音へのおかあさんの願いです。
2010 ぽおんの誕生日によせて きゅん
おかあさんが今から言うことをよく考えて聞いていてね。
おかあさんは、今から15年前に阪神大震災っていう大きな
地震を体験したんだ。
そのときおかあさんは21歳でね、おうちの2階で寝ていたら
いきなりドンって衝撃が下から突き上げてきたかと思うと
そのあと、激しい横揺れに襲われたんだよ。
それでテレビを付けてみたら、大好きだった神戸の街が一瞬にして
めちゃくちゃに壊れてしまっていたんだよ。
そのときに、おかあさんの心も一緒に壊れてしまったんだね。きっと。
それでも、おかあさんは、友達のことが心配で必死になって、駅まで
走っていったんだ。それであの日、駅のホームで再び大きな揺れを感じて
歩音のおばあちゃん(おかあさんのおかあさん)を必死で呼びながら、
泣き叫んだらね、そのホームにいた知らないおばさんが抱きしめてくれたんだよ。
そのときほど、人のぬくもりが有り難かったことはなかったよ。
多分、一生忘れないと思うし、おかあさんももし同じ立場だとしたら、
迷わずそうすると思う。
それから、15年の月日が流れて、町並みもすっかり変わってしまったけど、
わたしは歩音に伝えていきたい。この、人のぬくもりというものを。
わんぱくでもいたずらっこでもいい。人に優しくできる子に育って欲しい。
それだけが、たった一つの宝物、歩音へのおかあさんの願いです。
2010 ぽおんの誕生日によせて きゅん