
すぐにトランプの話になってしまう。
国際政治は、アナーキーなので、中央政府も警察官も裁判所もない。基本は力の強いもの勝ちの世界である。ニコニコ握手しながら、足をけ飛ばす世界である。日本国憲法も、政府や警察がある日本国内には通用するが、国際政治には通用しない。
それでは、無法地帯なので、できる限りけんかをしないで済むための理論が開発されている。この授業では、そのための理論である、勢力均衡論、宥和策、バンドワゴン、バックパスといった理論を具体例で考えてみた。ジャイアンが何人もいる世界に投げ込まれあなた(日本)は、どのようにふるまうかである。
バックパッシングは、ボールをバックキャッチャーに渡して、矢面に立たないという対応方法で、ジャイアンの矛先をほかのジャイアンに振り向けて、火の粉が降りかかってくるのを防ぐ戦法である。これまで、日本も、憲法9条があることを盾に、ソ連や中国の脅威をアメリカにバックパスしていたが、安部さんになって、自分もジャイアンに対して、正面から立ち向かい方法に舵を切った。だましあいが基本の国際政治において、あまりにまじめすぎないかというのが、当初からの感想であるが、もう、バックパスできないくらいに追い詰められているということなのだろうか。
アメリカも、日本の軍備を使って、中国やロシアを対峙させるというのが、基本戦略であるが(バックパッシング)、トランプ大統領は、それを変えるのであろうか。その場合、いっときは、アメリカの負担は楽になるが、今度はアメリカが直接、中国と対峙しなれけばならず、そのコストとリスクは高まることになる。また軍事的自立を強めることになる日本も、いずれアメリカの脅威となってくるというリスクが生まれてくるだろう。長期的な損得で考えると、日米同盟の変更は、アメリカにとって明らかに損であるが、いっときの利益と国民の期待に応じて、転換に舵を切ると思う。
最終的には、ジャイアンが勝手にふるまう国際政治において、私たち一人一人が、どのように考えるのか、そんな授業となった。