問題意識は、社会増獲得競争は行きすぎていないかである。
1.もし、宮崎県の都城市に移譲しようとしたらどうか。都城市では、移住者が急増していて、2023年度の移住者は1月末現在で1800人を超え、すでに前年度実績の約4倍に達している。その後押しとなったのは、「全国どこから移住しても500万円」である。
その原資は、「ふるさと納税」で、都城市は、全国最多の195億円の寄付を集めているが、それをつぎ込んだものだ。ふるさと納税という豊富な資金があっての事業である。
ちょっと悪いことを考える。都城市へ引っ越すことにしてアパートを借りて暮らし、そのうち、また三浦半島に戻ってきたら、500万円はもらい得になるのか。詳しい仕組みはあとから調べるが、5年は都城にいるという約束はあるのだと思うが、住民票だけを残して、ときどきはアパートに行くけれども、実態は三浦半島で過ごしたら、役所は何も言えないであろう。1800人も引っ越して来たら、フォローはとてもできないだろう。人の人生はいろいろである。介護のためにもどらければいけないと言われたら、それでも5年間は、こっちにいろとはいえないだろう。そもそも5年間は町にいるという契約自体の有効性や実効性はあるのだろうか。この仕組みの検証はきちんとできているのか。気になるところはたくさんある。
そもそもは、税金で牛肉を食べるというふるさと納税が、役所依存や甘えの要因になって、モラルハザードを引き起こす原因になっているのではないか。あぶく銭なので使い方が荒くなっているのではないか。
2.新城市は、こういう制度がないので、国の移住支援金を使うことになる。こちらは100万円である。これは次の要件のとおり、東京一極集中を防ぐ制度である。
移住支援金の要件は次の3つである。
(1)東京23区の在住者または東京圏から東京23区に通勤している者
移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住または通勤していないといけない。
東京圏には三浦半島も含まれる。
(2)東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域への移住者
移住支援金の申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること。
これも意思なので、急遽、三浦半島に戻らなければいけなくなったときは、仕方がないのだろう。5年たつと、平均寿命を超える人は、対象外なのだろうか。
(3)地域の中小企業等への就業やテレワークによる移住前の業務の継続、地域での社会的起業などを実施する者
この要件は微妙で、私のようにパソコンで仕事をする人もテレワークなのだろうか。ふるさと納税をやっている関係人口も対象になる自治体もあるようだ。
この制度は、国が2分の1、県と市が4分の1の負担なので、他人事になってしまい、フォローは、きちんとできるのだろうか。
簡単に言うと、日本全体ではちっとも人口が増えたわけではないに、自治体の人口増のために、お金をつぎ込む制度は、本当に有効なお金の使い方と言えるのかという問題意識である。
石破さんは、こうしたやり方を2倍にして、地方創生しようと考えているのだろう。