松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆はじめての条例づくり㊲市長がブレる

2021-06-02 | はじめての条例づくり
 条例をつくっていて、一番困るのが、市長さんがぶれることである。

 横浜市の総務の特命係長のとき、その時の部長さんの話である。その部長さんは、まめに秘書課に行き、若い秘書と雑談をするのである。そして「ねえ、市長さんは今どんな本を読んでる?」と聞く。それを聞き出し、さっそく買って読み、市長さんとあったとき、その本の話題もさりげなく出すというのである。「お、君も読んでいるのか」。一気に信頼が深まる。

 ただ、私は、その部長さんのふるまいを見て、私は、将来、とても部長になれないと思った(実際、なれなかった)。

 これは、市長さんの信頼を得る話であるが、たしかに、これで、市長さんの信頼は強くなった。

 なぜ、信頼を得る必要があるのか。個人的理由もあるが、いざというときに、部長の役割を果たすためである。

 ときどき、市長さんがぶれることがある。一度、みんなで決めたのに、別の力が働いて、方向が違ってくるときがある。
 しかし、そんなことをされてはたまったものではない、長い間の検討を重ね、ベストとなった案である。その間、さまざまな関係者と調整を重ねてきた。それを思いつきのような案に変更されてはかなわない。

 これを防ぐのが、部長さんの役割である。どうするか。

 政策案をつくると、最後に市長の方針決裁を取る。市長の赤い大きなハンコが押してあるものである。
 この部長さんは、いつも、この方針決裁のコピーを背広のポケットに入れていた。それは、市長さんがぶれて、「あの方針だけども」と言いかけたとき、背広からずっばと出すためである。

 市長さんが、言いかけたとき、機先を制して、「市長さん、これですよね!」と市長さんの目の前に見せるのである。これが部長さんの役割である。補助機関の矜持だと思う(部長さんが、何もせず、のこのこ帰ってきたら、係長以下の職員に、相手にされなくなるという雰囲気もあった)。

 その時、私は部長になれないと思ったが、実際、たしかになれなかった。
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