松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆はじめての条例づくり⑤・この条例は絶対必要だと思うこと

2019-12-29 | はじめての条例づくり
 条例は、担当が作るのではない。「困った」と思った人、「必要だ」と思った人が作るのである。

 この話は、研修でよくやるので、聞いたことがある人もいるだろう。

 私が最初に作ったのは、個人情報保護条例で、このときは総務の特命担当(行政調査等担当)の係長のときだった。「等」が私の仕事で、要するになんでもありである。

 最初の仕事が、住民基本台帳の電算化をやることになった。システム化が仕事ではなく、その前段の前さばきが仕事である。

 実は、私が担当する10年前、当局と組合が結んだ密約があった。確認書というもので、そこには、「住民基本台帳の電算化は、一切研究しない」と書いてあった。市長も議会も知らない密約である。

 10年後、横浜市は人口急増に悩むことになる。困った当局と組合は、住民基本台帳の電算化をしなければ、もうだめだと思い、やろうと考えた。そのときに、この確認書がネックになったのである。まず、確認書を無効にしなければいけない。お互いは言い出せない。当局の偉い人と組合の偉い人が、どうやって、この確認書をないことにするか、良い知恵はないか・・・。

 それまで、のんびり、区役所の窓口で、住民票を出していた私にお鉢が回っていた。その道筋を作るのが、私の係長としての最初の仕事だった。

 「私の話は長い」。ここは途中省略したい(2日間の研修では、まず、当局と組合が、スタータラインに立つ立ち方からの話になる。このあたりは、仕事のコツ満載で、1時間くらいの話になる)。今日は「はじめての条例」なので省略。

 スタートラインに立って、次の壁は、プライバシー問題である。そこで、個人情報保護条例となる(ここも1時間。なぜ条例なのか、規則や要項ではだめなのかの話も入る)。

 普通、個人情報保護条例は、情報公開担当や行政管理担当が作る。しかし、彼らには、作る動機も、意欲もない。彼らがつくるのを待っていたって、一向に進まない。早く、住民基本台帳の電算化をスタートしなければ、当局も組合も困ってしまう。

 だから、困った私が作るのである。これを作らないと「確認書」を破くことができない。必要性に迫られて、私が作るのである。条例は、困った人、必要だと思う人が作るという法則である。

 ここから学ぶことは、条例を作ることになったら、「これは必要だ」、「これがないと困る」と思うことである。そう思わなかったら、作らないほうがよい。

 ただ作らないと、私のように、万年課長で終わってしまうから、「これは必要だ」と思えるように、角度を変え、範囲を広げ、あるいは深堀りして、上司から与えられた条例づくりを意義のあるものに、していくことである。

 
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