この家に引っ越して来た時、出来るだけ早く取り替えようと思っていた物が有る。
それはエントランスホールのステンドグラス。
もちろん、ステンドグラスに罪は無いのです。
ただ、住まいって住む人に似合っているかどうかが大切だと思っているのだけれど、
これは何となく、住人にしっくり来なかったのよね。
けれどもしばらく生活するうちに、気持ちが変わって来た。
ステンドグラスを通して入って来る優しい日差しが、
四季折々、様々な表情を持っている事に気付いたから。
冬の間は奥の部屋まで夕日が長く伸びて来て、
こんな風にフロアを万華鏡のように彩ってくれる。
こうして長い間この家の暮らしを見守って来たのかなと思ったら、
取り替えてしまう事が可哀想になってしまった。
私達より先輩だものね。
やっぱりこのステンドグラスと一緒に暮らして行く事にしよう。
第一印象で違和感を感じても、時間が経つうちに馴染んできたり、
好きになったりする事って有るね。
人と人との関係でもそんな事がある。
日々の暮らしの中で、色々な出来事を一緒に経験するうちに
最初は意識していなかったはずなのに、離れ難いものになって行く様な。
そう言うのは嬉しい誤算とでも言うのかな。
この逆は時に悲劇だな。
大切だったり、大好きだったりしたはずの人が色褪せて見え始める。
まずは、そんな事を感じるようになった自分を、
受け入れられなかったり、許せなかったりもする。
いっそこのまま気付かない振りをしてしまおうかと思ってみたり。
いずれにしても、それを認めるには大変な覚悟と勇気が居るのですよ。
だけど、その気付いてしまった違和感こそ、
自分が成長した事の証だってこともあるもんだ。
あっ、もうすぐ日が暮れる。
It's time to move on.