言わずと知れた芸術性の低さを別にしても、
私の作る器は眺めて楽しんでいただける種類の物ではないと思う。
なぜなら使い手によって使われて始めて完成される器だから。
どんな花も、どんな食材も受け入れる事が出来るように、
どんなインテリアにも、どんなお洋服をお召しになった方にも似合うように、
それが私の思い。
私の器を幾つかお使いいただいている日本画家の女性から、
とても嬉しい言葉を頂いた。
” 貴女の器が我が家にやって来てから、
私は毎日貴女の器の為の一品を作るようになりました。
貴女の器がテーブルに出ていない食卓は寂しいのです。”
こう言っていただくと、陶芸をしていて良かったと心から思う。
きっと器も、うつわ冥利につきているに違いない。
少々手荒でも構わない、とにかく使っていただきたい。
それが私の心からの願いなのです。
くるんと巻いた耳の付いた浅鉢を作った。
外側は光沢のある天目で、フチと耳は赤。内側はベージュ。
同じお料理(お手製ミートソースね)を違う器で比べてみると・・・・
これは、来客用に沢山そろえてある市販の陶器の洋皿。
で、こちらが私の新作。
どちらの器がしっくり来るかのお好みは、もちろんそれぞれなのだけれど、
器の違いで同じお料理が違う表情を見せてくれると思うのです。
色とりどりのカラートマトを盛ったり、
お庭で採れたグレープフルーツを使ったツナサラダを盛ってみたり。
スープボウルやカレー皿にもちょうど良い大きさです。
どうかどうか、この器達も誰かに愛されながら使っていただけますように
この器を作ってしばらくして、美術館に行ったら、
こんな物を発見しちゃった。
当然私の器より、かなりアーティスティックだけれど、
なんとなく『あれ、気が合うね』と嬉しくなった