UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十三話Part5

2024-09-16 19:40:29 | 日記
「見えた! あと少しだ!」
 
 木々の向こう側に村の出口が見える。走り出して五分も経ってないが、まあこんなものだろう。そもそも狭い村だったし、そもそもそのまま残ってる……と言う感じでもなかった。ちょっと入って倒壊してた家屋がいくらかあって……みたいな感じだったんだ。歩きでも20分もあれば全体を回れただろう。そんなくらいのサイズ感だったから、急げばすぐに出口なんて見えてくる。
 これがもしもホラー映画とかなら、地方の村にきて、殺人鬼に出くわしても村の中を二時間は確実に逃げ回ることになるんだろう。けど普通村なんてそんな広くなだろう。足軽達は廃村の謎の洞窟に立ち入ったとか、でっかい屋敷にはいって迷路に迷い込んだとか……そんな事はなかったから、普通に出口はすぐそこだった。
 
「つっ!?」
 
 二人に声をかけて前を見た時だった。野々野足軽の目の前に草がある――とおもったけど、それは真っ黒い手だった。地面から生えてたそれが、目の前にある。しかもさっきまでは地面から生えてる風だったから、二の腕部分から地面から生えてて指が空に向かってた。けど今はその逆。まるっきり上下が逆になってる。野々野足軽はとっさに自分の顔に触れる寸前にその手を搔き消した。当然力を使った。
 けど今のは気づいたらもうすぐ顔の前にあった。きっと足軽以外には今のには気づいてないだろうと思った。
 
(何もなかった……うん、そう振舞えば――)
「きゃあああああああ!」
「あぁあああああ!?」
 
 そんな声が後ろから聞こえた。そしてガクッとスピードが落ちる。あの腕に小頭達が捕まって引っ張られてる? そう足軽は考えた。けど違った。実際、あの腕は小頭達にもちょっかいをかけてる。足軽が自身に集中した時、きっとその時にはほかにもあって、それらは小頭や幾代に向いてたんだろう。隙を見せてしまった足軽のせいで二人はあの黒い腕に触れらたみたいだ。
 けど触れられたといっても、直接的な実感は多分ない。だって……
 
(通り抜けてる?)
 
 そう、黒い腕は小頭や幾代の体を通り抜けてた。まるで弧を描くように、ちゃんとその腕の先の人物が動かしてるかのような……そんな半円を描いて黒い腕は動いてる。そしてそれは小頭達の体に触れると、みえなくなって、背中の方から出たり、背中から入ったのは胸の方から出たりしてる。つまりは素通りだ。触ってるけど……触れてはないとはそういう事だ。
 けどだからって二人に何の影響もないのか? と言えばそれはノーだ。だって二人とも足が止まってしまった。それに何やら放心状態のような? 
 
「ちっ!」
 
 こうなったらつべこべ言ってる場合じゃない。そう判断した足軽は一気に力を開放して周囲の黒い手を一掃した。その時に森に走り抜ける一陣の風。それが山全体を揺らしたのは言うまでもない。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 69

2024-09-16 19:35:23 | 日記
 はっきり言ってこの数ミリの狭間は完成度が嵩すぎる。下手に閉じるとかできない。あまりにも干渉をしすぎると、逆にこの安定してる時空間の狭間が不安定になる可能性がある。
 そうなるとどうなるのか? すぐにメタリファーが対応してくれたらいいけど、ここに来てから一度もあいつは姿を見せてない。もしかしたら私達の行動を何処かから観ててほくそ笑んでるのかもしれないが、メタリファーがなにか対応してくれる――というのは希望的観測でしかないんだよね。
 
 流石にこれだけの場所を放って崩壊させないだろう……と思うんだけど……それって……
 
「私の感覚なんだよね」
 
 つまりはそういうことだ。それって私の人間によってる考え方だ。前提としてメタリファーは私達とは全く違う存在なんだ。つまりはその思考だって全く違う。私達が当然とか思ってる事がきっとあいつには通用しないだろう。
 だからそれを宛にするのはよくない。下手にこの安定しきってる時空間の狭間をつつくと、不安定になって、全てをその空間に吸い込む掃除機へと変わってしまうかもしれない。
 
 それか無限に拡大していって、この場所を全て飲み込んで消滅……とかさ、最悪はそうなる可能性はある。だって……
 
「まさかそんな世界があるとは……ね」
 
 アイが送ってきた様々な船の記録。その中には故郷である世界が空間に消えた記録があった。そこはすごい研究に熱心な人達が多い世界だったそうだ。世界は3つの海が縦に並んでて、上の海に広がる大地が下の海と大地を支配する……そんな世界。
 上の方は技術力がすごくて下は奴隷的な身分だったみたいだ。そこで研究されてたのが空間の拡張だった。その研究を盗み出した下の人達が拙い知識でそれを発動させてしまったことで起こった事故で、その世界は空間の狭間に消えることになった。
 上の海の奴らが船を作って世界を脱出。その船がたどり着いたのが、何の因果がこの場所だったというわけだ。
 でもなかなかに空間の制御……そしてその研究で有意義なデータが沢山あった。
 けど……
 
「この人たち失敗してるんだよね」
 
 これをそのままやると私も二の舞いになる可能性がある。なんかそのフラグが私には見える。