「ここは?」
野々野足軽達はなんか寂れた廃村? みたいな所にきた。山を下って登って更に下って、何故にこんな所に来たのかはなぞだ。かなり古そうな建物が多くて、それらはまさに時代に取り残されたかのような……そんな家屋が目立つ。
「ふふ、なんでこんな廃村にって思うでしょ?」
「それは……まあ」
幾代はなんか感慨深げに村の入口で奥を見つめてる。この村の入口みたいなところには鳥居というか? そんなのの跡がみえる。普通に道路を通るだけでは絶対に来れないような……そんな場所にあるこの廃村は入口に大きな鳥居なのか……それか門があったようだ。
だってそんな大きな柱が両端にあるのがわかる。上の方は朽ちてなくなってるが、柱はまだなんとか残ってる……て状態だ。
「ほら、なにかありそうでしょ?」
「は? 家探しでもする気か? やだよ。呪われそうだし」
どうやら幾代は探検がしたいそうだ。出会って思ってたが、なんか幾代には男の子のようなバイタリティがあるようだ。見た目はめっちゃ女の子何だけどな……と思う野々野足軽。
「はあそっか。なら家探しはいいからちょっと村を見て回ろう? それな良いでしょ?」
「まあそれなら……どうだ?」
そんな風に二人が話してる間、残りの一人である小頭は何をしてのかというと、脚をめっちゃガクブルさせて、恐怖で震える体を休ませてたわけだ。
「てか……一人でいるほうが怖いし……」
まだ日は高い。けどどうやらさっきから小頭は周囲をキョロキョロとして怯えてる。別に何も足軽的には感じることはない。てかなんなら幽霊とか出たりしてもどうにかできる……という自信しか足軽にはない。
だから恐怖を感じてないわけだが、ここの雰囲気はただの女子中学生である小頭には日中であっても雰囲気があるみたいだ。風によってざわめく木々のこすり合う音とか……それがなにか……それこそ冥府にいざなう者たちの囁きとかに聞こえてるのかもしれない。
それに極めつけに幾代がこんなことをいった。
「ほら、ホラーな体験は夏の醍醐味っしょ!」
それはそれはとてもいいウインクだった。 というわけで、足軽たちはこの廃村を見て回ることになったのだ。恐怖があるのか、自転車のときよりも更に近くで小頭は野々野足軽の背中にひっついて歩いてた。
「暑いんだけど?」
「うっさい、お兄ちゃんでしょ」
そう言われると何も文句が言えない野々野足軽だった。なにせお兄ちゃんだからだ。そんな様子をとても微笑ましそうに幾代は観てた。