このサルたちは本質的にはその呪いという力に振り回されてしまってるんだろう。多分元はただ、ちょっとしたお守り程度のそんな力しかなかったんだとおもう。
けど怪しげな奴がこれを呪物にしてしまった。けど、実際たった一人の行いでここまでの呪物になるのか? というのも足軽は疑問が残る。けど人の憎しみとかはもしかしたら際限とかないのかもしれない。
足軽は現代の普通の家庭に生まれて、普通に育ってきた普通の男子なのだ。親だってちゃんとそろってて、かわいがってくれる祖父と祖母もいる。適度な距離間の兄妹に、学校でも目立ちはしないがこれまでいじめられたことなんてなかった。
そんな普通の男子が野々野足軽だ。だからこそ、実際人の憎しみがどこまで深くて、黒くて、怖いものなのか……確かに最近、愛が変質して暴走したような人を見た。
でもあれともきっと質が違う。これは悪魔が好むような感情とかじゃないんだろう。呪いという行為。そこにはもちろん悪意とか嫌悪……悔しさや哀しさがあるだろう。
それは悪魔も好みそうだけど……悪魔ではなく呪物となってる。
最初はそれこそたった一人の呪いだった。けど今やきっとそうじゃない。
「きっかけがほしい……えっと触っていい?」
「私に?」
「いや、この……」
足軽は指を指す。それはおばあちゃんではなくてその後ろのサルだ。サルの力を上手く……というか正確には足軽は感じれてない。いや、感じれるが、それほどおおきくおもえない――でもおばあちゃんの言葉を信じるならサルの力は大きくなってるらしい。
それはあってないと思った。そして一つの可能性を足軽は考える。
(今俺が感じてる力はおばあちゃんがあのサルを変身させる為に使った力……なんじゃ?)
でもおばあちゃんの変身の力は時限みたいだから今残ってる力が弱々しいのは、繋がる。つまりはサルは学習して今は自身の力でその変化を維持てるということだ。
「大丈夫なの? 足軽この子たちは……」
心配するおばあちゃんの言葉。そんなに信用が? とか思ったけどそうじゃないと足軽は察した。
「ああ、大丈夫だよ。呪いは……ほら、俺だって超能力者だし」
「そ、そうね、足軽は空も飛べるものね」
なんか空を飛べる事にとても大きな信頼感を持ってるおばあちゃんである。なんの論理もないが、空飛んでるくらいだから呪いもどうにかなるだろうという理論なのだろうか? けどここで拒絶されても困るので別に足軽も突っ込むことはしない。
しっかりとサルと触れとその本当の力を感じるのが必要だ。それに……
(呪いくらい防いでみせるさ)
そんな意気込みも足軽にはあった。
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