「あっがっ……なによ……これ」
私の白く細い腕に血管が気持ち悪いくらいに浮かんでる。今にも弾けそうなんですけど……普段はまったくもってわからない鼓動とも呼べる心音……それがおかしいくらいに早く動いてるのがわかる。
それはよくいうドクンドクンという表現じゃ全然足りない。いうなればこれは「ドドドドドドドドドドドドド!!」――である。それでも足りないくらい。左腕だけが今はピーンとしてるが、血管は勿論だけど全身にあるわけで……左腕が異常なだけで、私の全身に血管は浮かんでるみたい。流石に血管がチューブかよ? というほどに太くなってるのは左腕だけだけど……体がヤバい状態になってるのはかわりない。てかむしろ、私はひっくり返ってのたうち回りたいくらいである。
でも私は水に浮いてる状態だからね。ひっくり返るってなぜかできない。それに……そもそもが今は無理。それの一番の原因はやっぱりこの左腕だ。
まるで空中で固定されてるように、全く動かなくなってる。それはまるで私の腕……ではないかのよう。
『左腕に共有可能域を確認。プチュオクミにユア・ユグドラシルの認証の為の……00(イグゼア)の事前インストールを確認。工程のスキップが可能です』
なんか私の左腕ってなんなの? と思いつつ、スキップ? とか思った。確かに事前インストールは大切だ。それによってそのデータを活用できる時間が大幅に短縮できる。
まさかそんな機能が私にも……いや、本当に自分が謎すぎる。なんで左腕にそんな域があるのかも謎だし? 普通はそれこそ拡張した脳にするものでは? 00(イグゼア)は脳にインストールにされてるはずだしね。
でも今回の共有では脳ではなく左腕……何か理由があるのかな? わからない。でもとりあえず00(イグゼア)である程度の準備が出来てるのなら、願ってもないことだ。
だって苦しいし……痛い。この辛さを早く解消できるのなら、スキップしてほしいから00(イグゼア)へのアクセスも許可しちゃう。
「ああああああああああああああ!」
次の瞬間、頭にも痛みが走った。頭というか、瞳の奥がなんか痛い。無理矢理00(イグゼア)のデータを引っ張ってきてるとかあるのかも。辛さ倍増なんですけど? 視界がどんどん赤く染まっていく。その瞳から、左腕をみると……なんか私の腕に輪っかが現れる。物理的な輪っかじゃなく、魔法的なものだ。それが指先から徐々に左腕を上がってくる。すると……
「ひっ!?」
なんと私の腕が真っ赤になっていく。色をぬってるわけじゃない。赤いペンキをぬりたくってるわけでもない。皮膚が消えてるみたいだ。そして二の腕の所まできたら次は逆に動いて筋肉を消していく。すると骨がみえる。そして肉を消すと今度はもう一回指先から二の腕まで戻ってきて、私の左腕を完全に消し去ってしまう。
呆然だよ。腕がなくなることで痛みはなくなった。体から血だってでてない。でもこれで終わり……なわけないよね?
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