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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十八話Part3

2024-12-23 18:58:48 | 日記
「今更はだけど、それってどうなってるんですか?」
「ん? これ?」
 
 野々野小頭はずっと実は気になってた事を満を持してきいた。鬼女の方が話しやすい雰囲気を醸し出してるが、小頭を抱えて運んでるのは鬼男なのだ。それに微妙な差かもしれないが、起きてから過ごしてる時間は鬼男の方が長い。それによって、少しずつだけど小頭の心は鬼男の方へは打ち解けつつあるようだ。それに……だ。それに色々とこの鬼女は滅茶苦茶というか? そんな気を小頭は感じてるというのもある。けど満を持して声をかけたのはもう我慢できなくなったからだ。だって……だって鬼女は……今も乗ってきた自転車にのってる。
 それは別にいい。けど鬼も自転車に乗れるんだ……という素朴な疑問も浮かぶが、鬼の体のポテンシャルなら初めての乗り物でも楽々に乗りこなしそうだし、そこはいいのだ。問題は鬼女が乗ってる自転車が走ってる場所だ。今、小頭達は山から下りて、海辺の町の方へと向かってる訳だ。鬼はその脚力を生かして、跳ねては飛んでを来る返してかなりのショートカットをしてる。道なんて関係ないと言わんばかりである。そんな鬼男に自転車でついていく……となるととても大変そうに思えるのではないだろうか? 
 だって自転車は基本道路を走るように出来てる。オフロードバイクというのもあるが、残念ながら今鬼女が乗ってる自転車はどう見ても世間一般的なママチャリと言われる普通の自転車だろう。うん、そのはずだ――と小頭は思ってる。ママチャリならそこまで速度だって出せるわけでもない。ギアはあるようだけど、どうやら三段階くらいの奴みたいだ。ならばジャンプして色々な人間のしがらみを飛び越えてる鬼男についていくなんてできない……とおもうだろう。けど問題なかった。
 どうしてか? それは簡単だ。鬼女が乗ってる自転車が空を走ってるからである。いや本当に。鬼女はとても姿勢よく、そしてあたりまえみたいなにペダルを漕いで空をママチャリと共に走ってるのだ。あまりにも威風堂々というか、当然? みたいな感じで走ってるから、少しの間小頭も普通に受け入れてしまってた。けど考えたら……いや考えなくてもおかしいだろう。
 
『自転車は空を走らない』
 
 それはこの世界の共通認識ではないだろうか? まだまだ自動車や自転車が空を飛ぶ時代は来そうにないのだ。なのに……だ。なのに、なぜか鬼女がのってるママチャリは当たり前かのように自転車が空を走ってる。
 
「どうやって飛んでるんですかそれ?」
「いやいや、飛んでないよ?」
「え? どう見ても飛んでますけど?」
 
 この人は……というかこの鬼は何を言ってるんだ? と思った野々野小頭である。


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