『メタリファーの思いなど知らん』
『おい――あっ』
私は思わず強い言葉を吐いてしまった。今まではG-01から声を出すときは威厳と慈愛を意識していたのに……思わずね。だって「知らん」――とかいうから。なんでそんなことをいうの? そもそもがその契約で彼はここに来たんでしょう? それなのに知らないとかさ……ちょっとは興味もってよ。
きっと彼は研究に腐心できる場所さえあればよかったのかもしれない。だからメタリファーの心情? なんてどうでもよかったのかもしれない。実際彼は心の機微とか頓着しなさそうだし? 人間関係を上手く構築できないってそういう事じゃない?
『おほほほ、メタリファーとはあなたをここに招いた。そしてあなたはここでメタリファーの願いをかなえるための研究を始めた……そうですよね?』
私はとても丁寧に言葉を紡ぐ。それは確認のためだ。だってそこで「こいつはどうしてこんな事を?」とか思わなかったの? いや一瞬くらいはきっと考えるだろう。だってこんな存在がそんな接触を図るなんてそうそう有ることじゃないだろう。
そもそもが流石にG-01を作った彼らもメタリファーという存在を解明できてないようだ。だって、G-01には膨大なデータがあり、私にはそれを閲覧する権限がある。まあ膨大すぎて検索するにも一苦労だけどね。
メタリファーで検索する簡素なことしかわからない。時空間を司る存在とか……そんなのだけだ。つまりはそれだけで、それ以上は何もわからないといえる。 そして多分そうなのだろうと思う。G-01を作った世界の人々がこれしか情報がないのなら、きっと世界のどこもメタリファーの存在を解明してるところなんてないだろう。
それどころか大抵の世界はメタリファーなんてきっと認識もしてないと思われる。そんな謎の存在と彼は接触できたわけだ。それってとても貴重な事。そこら辺は彼の専門ではないかもしれない。でもそんな今まで解明の手がかりさえなかった謎の存在……生命とかよりも一つ上……なのかどうかはわからないが、そんな存在に運良く接触できたのなら、普通はその存在を知りたいとかさ……思うものじゃない? 研究者ならなおさらさ。
『メタリファー自身に興味なかったのですか?』
『興味はあったさ。あいつの力と、その原理にな』
つまりはメタリファーの思考なんかには興味なかった……とそういうことね。
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