『世界がいくら分裂しても、それを受け入れるのに限界があるのはわかりました。ならばなぜ運命が渋滞してるのですか?』
私はそう彼にたずねる。けどそれにはアイが答えてくれた。
「誕生する前の魂の命だもの。何も定まってないのだから、なんだって受け入れることができる。それに元はメタリファーという時空間を司る存在。きっとさぞ高位な存在になるでしょう。
そんな存在の命よ? どんな運命でも歩めるでしょう。なら……自分が選ばれるかもしれない」
『押し付けた者勝ち……ということですか?』
「そうともいうかもね」
実際、魂には前世の情報があって、運命がある程度示されるという。命が何回も転生して積み重ねていくと、それだけ流れ? ってのは決まっていくのかもしれない。
でもメタリファーはそもそもが魂とかない概念的な存在だった。それを魂に変換して、新たな存在に押し込めようと……そうしてる。メタリファーの魂にはきっと何の情報もないだろう。まさに真っ白だ。だからこそ、どんな運命だって押し寄せる事が出来てるのかもしれない。
いやいや、そもそもが運命が魂の情報によってある程度示されるのなら、寧ろまっさらなメタリファーの魂には運命なんてこれなくない? という気もしないでもない。だってメタリファーの魂にはまだ何もないんだからだ。
けど事実として、運命は集まってることでユアの卵はバクを起こして誕生を阻んでる。
『そもそも運命が魂の情報である程度示唆されるなら、メタリファーの魂はまっさらなはずです。運命が押し寄せることがおかしいでしょう?』
『概念と違って命は刻まれるものだ。その生を魂に刻む。それはこれからでも、その先の無数の運命が手を挙げてる状態なんだろう』
やっぱりここでも押し付けた者勝ち……か。運命とは案外押しつけがましいらしい。でも少しずつ方向性は見えて来たきがする。つまりは、何も定まってないから、運命が渋滞してる。まっさらな魂はそれだけ魅力的にみえるんだろう。
『メタリファーはなぜ、魂を求めたんでしょう? 何か望みが、やりたいことがあるのではないですか? それは聞いてませんか?』
私は彼にそれを問いただす。だって概念だったメタリファーが魂と体を求めて確かな存在として確立しようと思った何かがあるはずだよね? そういう目的や目標があれば運命はある程度絞られると思う。
だからそれを示せばちゃんと誕生できるんじゃないだろうか?
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