期待と鏡

2012-09-07 07:40:35 | 魂と心の成長
マーサ・スチュアートの自伝を読んでいたら、面白い表現に行き当たりました。

Her father was a man who blamed the world, that doesn't allow him to live up to his expectation...

なんか屈折した、世の中を拗ねて斜めで見ている様子が伝わってくる表現だな。

これが日本語にすると、 世間は彼が期待する通りの人生を生きさせてくれないと不満だらけの男…

いやね、期待、っていうのは非常に問題を孕む心理だな、と思ったわけですよ。

期待。Expectation。

期待をしない、というのは、人生の非常に大きな知恵ではないかと思います。期待があるから失望がある。

期待をしないという美徳を子供は持っていますね。大人になると失っていく。

■ 正直

人は自分自身の人生について、どんな期待をするのでしょう?

昔、大学の友人が音楽をやっていて、まぁ基本的に音楽をやる人は売れたらうれしいわけですが、「売れたらうれしいけど、注目の的になりたくない」なんてすごく矛盾するセリフを言ってくれて、それはちょっと矛盾だな、と思ったことがありました。売れたいなら、売れることをやる。ダイレクトにやらないと世間はそんなに甘くない。

ただ今思うと彼は正直に、自分の人生への期待を教えてくれたんでしょう。なんだか知らないけど、ひっそりと名が売れ、実は人気者のオレ。そんな風になりたいけど、ありえないよね~アハハ、みたいな。

人間愛されたいと言う欲望は誰にでもありますから、人気者のオレ、という根拠希薄な願望は、子供っぽいといえば子供っぽいのですが、正直だったなと。子供っぽい自分に対して。

みんなから愛されたい。けど責任は嫌だ。

■ 1人に深く愛されれば、みんなから愛される必要はない

彼は田舎の農家の1人息子で兄弟はみな女性なのだそうでした。家族の中で愛されて(期待されて)育ったのが分かります。

その期待に答える形が、ひっそりと皆から愛されているオレ、だったのかもしれません。

彼自身の願望ではなく、彼が家族から期待されていた姿を語ったのかも? 

それは非現実的な期待、と分かっているゆえに彼自身もそんなのあり得ない!と苦しんだのかもしれません。

■ 男性と期待

思うに男性は自尊心に問題を抱えた人が多い。そういう人はオレ様キャラで、周囲の人が合わせてくれているのに知らないのは本人だけという状態にいたりします。

つまりオレ様キャラ=尊敬されたい=愛されたいという叫びは 実質 ”助けてくれ、期待に押しつぶされそうだ”ということなのかも?

本質的には、1人に深く愛されればみんなから愛される必要はない。その1人とは、自分自身のことです。

でも、自分で自分を愛するために、鏡を必要とするのが男性なのかもしれません。

最初は母。そして恋人。妻。アンコンディショナルラブ。

というのは、最近読んだ『動物感覚』という本には、草食の大型動物のような被食動物で大型の動物には、社会性があり、特にオスには子供の頃から集団が必要で、その生態を無視して、例えば競走馬のようにオスを単独で飼うと非常に凶暴な、正常でない精神状態のオスになってしまうのだそうだからです。
なぜかメスにはない特性。これがイブをアダムの伴侶としたという意味かもね。

まぁ大人になれば、男性だろうが女性だろうが、周囲におきる出来事はすべて鏡です。その鏡の使い方は教えてもらわなければ使えないのが難点ですが…

期待。人生が期待通りに行かないのは、ほとんど想定内ですから、そうした自分自身のあり方に対する期待、それも子供から大人になるプロセスで刷り込まれた期待は、本当は早く手放したほうが良いのでしょう。

つまり、子供のような心で、大人としての人生を生きる。なかなか難しいですが、
楽しいことを手放さない、というのが一つのコツのような気がします。

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