オーストラリア留学の夢と現実

2010-06-28 13:07:59 | 福岡&中野&メルボルン時代
■ 影もある・・・

オーストラリアの留学産業は国を支える国内3位の巨大産業で、
年間170億ドルを稼いでいます。1兆円以上の額ですね。

このある留学斡旋会社のブログ記事では、連邦政府の勧告が語られています。
http://ameblo.jp/huckle375/entry-10478315564.html

私がREWで感じたのは、まさにこれ。私がいたのは一番上級クラスのはずでしたが
あまりのレベルの低さ(ごめんなさいっ・・・^^;)に愕然としました。

そこで、早速色々な調べ物を開始しました。

例えば、こういう記事もネットに転がっています。
ディプロマ・ミル(学位工場)というのは実際にそこで勉強した人のセリフ
http://www.studyconnect.com/forums/showthread.php?t=19798


オンブスマンによる調査では、ここではRMITが槍玉に上がっているのですが、
RMITのすべての学科が悪いということはないと思います。

現に、知人の息子さんも通っていて、彼はオーストラリア人。

RMITはメルボルン人の誇る地元の優秀な大学なのはその通りなのです。
ただそれに(最近の特殊な事実)が加算され、要注意なのです。

・RMITは都市ど真ん中にあるので(メルボルンセントラルのお向かい)海外の(特にアジアの)
 留学生に人気がありすぎる
・学費が他校より高い

そして・・・嵩じた所でこんな実態も生まれます。

”学位を留学生のために格下げ”
http://www.heraldsun.com.au/news/national/foreign-students-cheating-or-receiving-special-treatemt-to-get-degrees/story-e6frf7l6-1225877694343

モナッシュ大学のBob Birrell教授もこの方面の批判で有名です。

彼のこの記事では増えすぎた学生が住宅価格を押し上げているという記事がありますが
http://www.heraldsun.com.au/news/victoria/migrant-intake-a-strain-on-cities/story-e6frf7kx-1111116428497
これは、メルボルンの人口増とバブル前夜的な感じを感じさせる
こちらの不動産業の印象と一致します。

なんとなく感じることと、というのは意外に合っているのではないか?
と思うのです。


■ 誰が結局得しているのか?

どうでしょう?
批判の矛先は、留学生そのものに向けられるべきではなく、どちらかというと、

・教育の質より学生数拡大を狙う、ラクに儲けたい大学の拡大政策
・期日までに住まいを見つけるニーズの高い学生を狙って住宅開発している不動産業者

に向けられるべきではないかと思いますが・・・。

これらの背景にある考え方というのは、マーケティング思考であるのは
疑いありません。留学生がCashCowとみなされているはずです。

留学生と地域住民、あるいは将来の雇用主は双方、被害者である、というのは確実な事実である気がします。


■ 日本人にとって、海外で勉強することの期待とは?

英語しか使えない環境で、英語”を使って”つまり”英語を学ぶ”のではなく
”英語で学ぶ”というのが、海外留学の期待であり、日本での勉強にない強み。

であるとすれば、クラスメートは大変重要ではないか?と思います。

一般に大学院生は日本でも通常の学生とは質が違い、社会人率が上がり授業の質は良いものです。

学生時代に無理やり勉強させられたのではない純粋に知的な楽しみがあり、
他の学生(とっても現役ビジネスマン)から得られる知見には非常に刺激されます。

そう、私が期待しているのは、日本でも体験した、このような高い向上心。

真摯さ・・・です。短く言うと。

日本からはるばるやってくる社会人学生が学生が期待している環境というのは、私が思うには、
ネイティブスピーカーの社会人に囲まれ、アクセク、四苦八苦している姿ではないかと思うのです。

そう、頭脳の汗も、冷や汗も、色々織り交ぜて汗をかく生活。国際社会の縮図。

勉強が面白いだけでなく、自分のスキルが向上していると日々感じることのできる生活。

日経ビジネス的であまり使いたくない表現ですが、「自分グローバル化」


■ 期待する生活を得るためのベストプラクティス・・・(試案)

1) 永住権を考慮した学部選択

 まずは将来のビザ申請を予定し(帰国予定であっても選択肢は広く!)、
 ノミネーションする職種を決める。

  ・自分の過去の職歴にマッチすること
  ・その職歴にマッチする学歴を選択 (Postgraduateレベル、TAFEはのぞく)
  ・その学科(学歴)の中から、自分が入れる要件を満たしたコース、すべてに申請

2) 学校選び

  ・社会人教育がメインの大学を選ぶ →パートタイム学科が豊富かどうかも目安になる
  ・留学生の比較的少ない学校を選ぶ →聞くしかないが、教えてくれないことも多い
  ・郊外の学校を選ぶ → 人気が少ない

3) 地域選び

  ココまでで既に選択肢がもうほとんどない、ということもあるかもしれませんが。


本来は、ファクルティ(教授陣)を見て、自分の学びたい学問をもっとも提供している
ところへ行くのが最適なのには違いありません。

例えば・・・私だと、テクニカルライターで探すとコミュニケーション系学部が数校
上がってきますが・・・問題はそれらコースがCRICOSに登録されていない場合では、ビザ申請時に2年間の教育を受けたことが認定されない可能性があることです。


そうなると

・永住権を考慮した学部選択をした場合 → 帰国するか、残って働くかの二つの選択肢。
・永住権を考慮しなかった場合       → 帰国オンリー。

となってしまいます。 本来は、働ければ永住権まで考えないという人が多いと思うのですが
雇用主が永住権取得者増加により、取得済みの人しか雇用しないため、選択肢を広く取る考慮が必要になります。


■ 労働 と 移民と 教育と

このように大学教育と移民政策がガッチリ四つ巴なのは、元を正せば、永住権保持者しか
雇わないという硬直した雇用方針のせいなのですが、移民にたくさん来てもらおう!という
政策の発端は、国内での労働力の不足なわけですから、まずは働きたい人に働いて
もらったらいいわけです。 

つまり、企業自身に必要な労働者を選ばせればいいところを、教育機関が移民を
ふるいにかける機関となりかわっているために、単なるビザ目的で大学進学が利用されると
いう事態を招いています。

労働者が足りないのなら労働者をいれ、永住権・市民権とは切り離して労働だけを
買い、労働に手厚く報いる。

そのほうがうんとシンプルなのになと思います。


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