母の日の思い出といえば。
あたしにとっては、ものすごい暗い話だった。
小学校一年生の時、当時はお小遣いなんてもらってなくて。
必要な物があれば、そのつど請求していた。
おやつは買い食い禁止で、そのせいで仲間はずれにも、された。
でも、なんとか母の日のプレゼントをあげたかった、子供心。
何日も前から、おじいちゃんのたばこを買ってきてあげて、お駄賃をせしめたり
近所の畑でゴミ運びの手伝いをして(この時期、畑は忙しい)お駄賃をもらったり
なんやらかんやらして、近くの用品店に十円玉をたくさん握りしめて出かけた。
なにしろ低予算。
買える物など、ハンカチくらいだった。
本当はショールが欲しかったのだが、何年もお駄賃を貯めても、無理っぽかったし。
お店の人からリボンをサービスしてもらって、頬を染めて母の元に急いだ。
初めての買い物。
どきどきどきどき。
母は台所で忙しそうだった。
おずおずと割烹着の裾を引っ張ると、母は振り向いた。
あのね、これ、えっと、・・・母の日だから。
やっと言って、母の笑顔が見たくて振り仰いだら、母はものすごく「渋い顔」をしていた。
びっくりした。
「お小遣いももらってないのに、こんな無駄遣いするんじゃありません!」
とりあえず受け取ったけど、その一言だけで、くるりと後ろを向いて、また作業に戻った
その母の割烹着の白さが目に痛くて、あたしはこっそり泣きながら自室に戻った。
抱きしめてくれなくてもいい。せめて「ありがとう」という笑顔が欲しかった。
馬鹿なことをしたのだ、という後悔だけでは悲しすぎた。
その後も、あたしの選んだハンカチは使われることもなく過ぎた。
あたしは、母の日のプレゼント、というものから遠ざかった。
進学校に通い、図書室が憩いの場で、毎日忙しく過ぎていった。
そのうちにおじいちゃんが倒れ、看病に手を取られているうちに母も病魔に冒され
先に母が逝った。
おじいちゃんも翌年みまかった。
介護疲れで、身の回りに目を向けることもなく過ぎた長い長い日々も、ようよう落ち着きを取り戻しつつある。
最近になって、やっと遺品の整理を始めた。
遅すぎるけれど、やらないと、という義務感から。
母のタンスの引き出しの奥から、紙袋が出てきた。
あたしのあげた、たった一度の母の日のプレゼント。
「○○から、母の日に」という、見慣れた母の文字が添えられてあった。
こんな安物のハンカチを、いつまでも、こんなふうに・・・・・
思わず取り乱して、見なかったことにして捨てようかとさえ思うほど、あたしは母に邪険だった。
たぶん。
おかあさん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
渋い顔は、泣きそうだった・からかもしれない。
小学校一年生のあたしには、そんな「大人の思い」なんか、解りませんでした。
どうか、母が迷わず天国に行けていますように。
あとで母の墓前に、白いカーネーションでも持って行こう、と思っています。
あたしにとっては、ものすごい暗い話だった。
小学校一年生の時、当時はお小遣いなんてもらってなくて。
必要な物があれば、そのつど請求していた。
おやつは買い食い禁止で、そのせいで仲間はずれにも、された。
でも、なんとか母の日のプレゼントをあげたかった、子供心。
何日も前から、おじいちゃんのたばこを買ってきてあげて、お駄賃をせしめたり
近所の畑でゴミ運びの手伝いをして(この時期、畑は忙しい)お駄賃をもらったり
なんやらかんやらして、近くの用品店に十円玉をたくさん握りしめて出かけた。
なにしろ低予算。
買える物など、ハンカチくらいだった。
本当はショールが欲しかったのだが、何年もお駄賃を貯めても、無理っぽかったし。
お店の人からリボンをサービスしてもらって、頬を染めて母の元に急いだ。
初めての買い物。
どきどきどきどき。
母は台所で忙しそうだった。
おずおずと割烹着の裾を引っ張ると、母は振り向いた。
あのね、これ、えっと、・・・母の日だから。
やっと言って、母の笑顔が見たくて振り仰いだら、母はものすごく「渋い顔」をしていた。
びっくりした。
「お小遣いももらってないのに、こんな無駄遣いするんじゃありません!」
とりあえず受け取ったけど、その一言だけで、くるりと後ろを向いて、また作業に戻った
その母の割烹着の白さが目に痛くて、あたしはこっそり泣きながら自室に戻った。
抱きしめてくれなくてもいい。せめて「ありがとう」という笑顔が欲しかった。
馬鹿なことをしたのだ、という後悔だけでは悲しすぎた。
その後も、あたしの選んだハンカチは使われることもなく過ぎた。
あたしは、母の日のプレゼント、というものから遠ざかった。
進学校に通い、図書室が憩いの場で、毎日忙しく過ぎていった。
そのうちにおじいちゃんが倒れ、看病に手を取られているうちに母も病魔に冒され
先に母が逝った。
おじいちゃんも翌年みまかった。
介護疲れで、身の回りに目を向けることもなく過ぎた長い長い日々も、ようよう落ち着きを取り戻しつつある。
最近になって、やっと遺品の整理を始めた。
遅すぎるけれど、やらないと、という義務感から。
母のタンスの引き出しの奥から、紙袋が出てきた。
あたしのあげた、たった一度の母の日のプレゼント。
「○○から、母の日に」という、見慣れた母の文字が添えられてあった。
こんな安物のハンカチを、いつまでも、こんなふうに・・・・・
思わず取り乱して、見なかったことにして捨てようかとさえ思うほど、あたしは母に邪険だった。
たぶん。
おかあさん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
渋い顔は、泣きそうだった・からかもしれない。
小学校一年生のあたしには、そんな「大人の思い」なんか、解りませんでした。
どうか、母が迷わず天国に行けていますように。
あとで母の墓前に、白いカーネーションでも持って行こう、と思っています。
彩ちゃん、自分に厳しいのぉ(^^;
そんな細かなオトナの機微を、
一目で見破る小学一年生なんて、
千人に一人いるかいないかじゃないかな。
ハタチ過ぎても読めない大人は多いはず。
彩ママは照れ屋さんだったのね。
それで損した場面も多かったろうな。
でも彩ちゃんは、児童たちとのやりとりを読んでる感じでは、
素直な感情表現ができてる人でないかい?
きっとママンにも素直に伝わってるよ、
彩ちゃんがママンを大好きなこと。
ね?(笑)
彩女さん(ToT)
感情をだすのが不器用なお母さんだったのですね!
家は受け取って捨てたのを目撃してから複雑です(笑)
あ、ちゃんと渡しましたo(^-^)o
親不孝真っ盛りだった頃とか特に、よく覚えてて。
せつなかった。
レス、遅れてしまってごめんなさい。
なんて書いたら良いのか、悩んでしまってて。
まきぼうひゃん。
うん、伝わってるといいなぁ。
ぽこちゃん。
捨てたのか、それはまた。。。r(^‥^;=)~ ポリポリ
子どもって、子どもなりに「せつない」んですよね、いつだって。
子どもの心を、ちゃんとすくい取ってあげられる大人になりたい、と
いつも思っています。