ミッドナイトスワン、3回鑑賞。
公開してからもう一週間経ったので、ネタバレ含む感想を少し書かせてもらいます。
どこもかしこも好きなシーンばかりで、どこから何をどう書いていいのかな。
凪沙と一果がテーブルはさんでハニージンジャーソテー食べるとこ。
あれ、何気ないシーンだけどツボが満載だよね。
テーブルに運ばれたハニージンジャーソテーに、マンガ読むの止めてすぐに食べ始める一果。
凪沙に「いただきますは?」って言われて手で口の端をキュッと拭って、小さな声で(一果はいつも声が小さいんだけどね)、「いただきます…」って。
一果はたぶん、家ではほとんど一人で食べてたんだろうね。
いただきますを誰かに言うことも無いし、誰かに作ってもらった温かいご飯も食べることが無かった。
凪沙に作ってもらったハニージンジャーソテーはたまらなく美味しかったんだろうな。
卵焼きも、嫌いなはずの野菜サラダも。
あの食事シーンのやり取りは始めから終わりまで、全部愛情に溢れてて幸せな気持ちにしてくれる。
最後の「洗濯もの、後で出しといて」の凪沙の言い方が、これがまた優しいんだ。
大好き、このシーン。
学校の屋上で、一果とりんちゃんがキスするシーンあるでしょ。
あそこの「なった」「なってない」「なったよ」のやり取りも大好き。
無表情で何を考えているのか分からない一果だけど、りんちゃんのことは無条件で受け入れている。
りんちゃんが自分と同じ孤独を抱えていることを知っているからなのかな。
何人かの感想を読ませてもらった中にあのキスの意味は?っていうのがあって、その方はどうもキスをするのは不自然に感じたらしいのよ。
私はなんとも思わなくて、ただ優しい気持ちになったくらいなんですが。
監督に聞いてみないと本当のところは分かりませんけど、私はただりんちゃんは一果が可愛くて、好きで、多少の嫉妬もあり、触れてみたかっただけなんではないかと。
恋愛感情とかそういうのは関係なしにね。
あるじゃん?そういう感情。
深い意味はないのよ。たぶん。
あのシーン、大好き。
ラストの、海のシーン。
美しかったな~。
凪沙の目には、海も、踊る一果も実際には見えてなかったんだろうけど、最後に自分の願いが叶ってとても幸せそうだった。
凪沙は何も後悔してない。
それどころか、一果を命懸けで愛したことを誇りに思って幸せの絶頂の中で死んでいった。
静かに息絶えた凪沙の顔の美しさったら!
あのときのクサナギさんの演技は素晴らしかった。
死ぬ演技って、たくさん見てるじゃない。テレビでも映画でも。
でもハッと息を呑むくらいの名演って、そんなに思い出せない。
ストーリーや演出によって左右されるから、観る側のその時の感情にもよるんだろうけど、ハッキリと「この役者さん凄い!」って言えるのはめったに無いと思うの。
いま覚えてるのは「ターミネーター2」のドン-チードルとか。
スカイネットを開発する科学者の人。
たしかあの人何かの賞とってるよね。
とにかく、素晴らしかったんですよ、クサナギさんは。
その後の、一果が海に入ってく画がね、また美しかったね。
荒い波に向かっていく一果に、悲しみと力強さが溢れてる。
大好きだー、このシーン。
このお話、悲しいけど悲劇じゃないね。
エンドロールでちゃんと見せてる。
ほら、二人は幸せなんだよ、って。