鯨の先祖を遺伝子レベルで辿っていくとなんとラクダとかカバと共通しているらしいという。現在の姿や生活からは想像も出来ないが、それでもラクダの耐久力とか本来草食動物のカバの不思議な水中生活を思うと、そうかもしれないなあと思えてくる。カバは子供を水中で出産して、水中で赤ちゃんに授乳するのだそうだ。
鯨の先祖も、その辺から水中生活に一本化していったのだろうか。西洋の思想では動物と人間ははっきり分けて考えられているが、東洋の思想はそれほどきっちりとしていないから、伝説などでは鮭のような大魚の王も、鯨の子連れの母子も、人間に語りかけてくる存在ということになっている。
今、獲られて死ぬわけにはいかないという時などには特にだ。いや、動物ばかりではない、植物、特に何十年、何百年と経った大木などもそうだ。大木自身が納得しないと人間の側の力だけでは木も簡単には切り倒されないのだ。
それはただの民話や伝説の世界の話だと見ることもできるが、しかし、それだけだろうか。今の地球の様相を考えると、大自然を思い通りに支配しているつもりの人間が、なんだか、しっぺ返しを受け始めているような感じに見えてしまうのだ。
むかし、むかしの、大昔、人間と自然は持ちつ持たれつのようなかかわりを持っていたような気がする。まだほんの一昔前の宮澤賢治の作品世界を見るとまだそんな世界が書かれているわけだ。でもこれから先はどうなるだろうか。
アマゾンの大森林を開発してしまうような取り返しのつかない愚行を続ける人間たちを大自然はいつまで許しておくか、その辺は非常に不安だ。
Hippopotamus