ゲイリーマンのカミングアウト的思考

長年サラリーマンしながらLGBT活動。45歳にしてフリー。同性愛者らが自分らしく生きられる社会を地方から目指す。ミラー版

問題だらけのパートナーシップ制度に期待してはならない

2022-01-17 16:13:45 | Weblog
松山市へ同性パートナーシップの要望を出したことについて、コロナ感染急拡大で大変なさなかにLGBTは何をやっているのか!?という厳しい指摘が自分たちの方に届いたり、仲間内からもそういった意見が出ています。

誤解がありますのでお伝えしますが、レインボープライド愛媛は自治体パートナーシップを推進していませんので関わっておりません。
エディが煽っているとの勘違いで厳しいご意見をくださる方もいますが違いますので(笑)
LGBTも多様でして・・。思い込みもあると思いますが、中にはこの制度に期待してしまう人もいるようです。

この制度については問題が多いと感じます。
運動としても悪手になり、多くの当事者の為にならないと心配しています。

結婚が同性同士で出来ないことで、家族扱いされにくいとか扶養に出来ないなど困りごとは確かにありますが、自治体のパートナーシップ制度によってそれらが改善されることはまずありません。

医療での扱いですが、パートナーシップ制度がなければ家族扱いしてもらえないということはないのです。制度が無くても対応してくれる病院はありますし、公営病院などは制度が無くとも既に柔軟なところが多いです。
治療判断については法的な家族の意向と違った場合には大変なことになりますから、法的根拠のないこの制度で対応出来るはずもありません。公正証書など別の手立てが必要になります。
このあたりは勘違いを相当に広げているのではないかと危惧します。

また、賃貸住宅においてもパートナーシップ制度で解決するわけではありません。
現状でも対応してくれる物件はできるし、できない物件はできません。
制度が無くても、理解ある不動産会社であればいろいろと相談に乗ってもらえるでしょう。
この制度で民間の不動産会社や大家を取り締まったりは自治体にはできません。

結婚に相当する関係と自治体が認める・・それは大げさです。

法的根拠がないので結婚に相当する関係(事実婚?)になりようがありません。
自治体に出来ることは本当に限られています。自治体の担当者にカップルなんですねお幸せにと言ってもらえる程度のことになるのです。
意味の無い制度を各地に広げても、国は動かせません。同性婚ができるようにはなりません。

利用者も極端に少ないのでなおさらです。

制度が無いことでLGBTの生活上の困りごとが放置されているのだと思われていますが、この制度ではほとんど役に立ちません。カードをもらえる程度なのです。
なのに希望を持たせるような伝え方をして良いのか?
マスコミにしても本当に裏をとって報道しているのかと思うところが多いです。

全国を見ても、推進している立場の当事者はたぶんすべてを分かっていて、役に立たなくても欲しい!と望んでみているのだと思いますが、そうなると結局のところカップルである二人の関係を認めて欲しいという点だけになってきます。
そうすると、どうしても二人の関係を公的に認められないとダメなのか?と問われて行くことになり、そんなことは二人が分かりあっていればいいことではないのか?周辺にカミングアウトすればよいのでは?となって、とどのつまりは「心持ちの安定の為に」という制度に求めるものとしては相当に無理がある要望になってきてしまいます。

男女のカップルをみても、結婚や事実婚は別として、好きあった二人の関係を公的に認めてもらわないと嫌!と本気で求めている人なんていますか?と問われてしまいます。

それは結婚が同性同士ではできないからだ!となるなら、それは自治体のパートナーシップなどでなく国に同性婚の要望をすべきで、もうゴチャゴチャです。

いやいや、意味が無くても欲しいものは欲しいのだから・・
そういう訴えになるのなら当事者仲間のこととはいえ非常に心苦しいというか成人の要望として無理があるというか、当事者もいろいろですからと言っておかねば、また違った誤解をLGBTにもたれる心配が出てきます。

当事者ひとり一人のことよりもカップルに注目している要望であることでおひとり様LGBTは後回しかという点、そしてそもそも大多数である隠れた当事者に寄り添ってない取り組みである点、ひねり出したようなメリットや申請カップルのその後の管理ができないなど行政が考える制度としては稚拙といった様々な理由で問題だらけで書ききれません。

当事者でも誤解している方が多いのですから世間の人はなおさらでしょう。

このブログを読んで気になった方は、それこそ講師に呼んでくださったり聞きに来てもらえたら詳しくご説明します。
良かれと思ってたことが・・こんなことじゃダメだ・・と、驚かれるかと思います。

この際、このことで注目されるのであれば、隠れざるを得ない当事者の立場のことを知っていただける機会になるのなら有難いことだと思いながら自分たちの見解を伝えています。
社会の制度になる以上、使いたい人だけのための制度ということにはなりません。

多くの当事者にとってはカミングアウトありきの制度ですから非常に利用にしくいです。申請は隠れてできたとしても利用にあたってはカミングアウトしなくては始まりません。ほとんど意味もないなら使う必要がありません。記念品ではありませんし。

当事者のニーズに合ってないのは先行した自治体の極端に少ない利用者数で結果がでています。そんなものを勝手に作られては困ります。
利用者の少なさは利用者を無理に募っていくことになったりと、隠れざるを得ない多くの当事者を追い込むことにまでつながっていくでしょう。

今までも、松山市には本当に必要なLGBTへの支援について、誤解されないよう説明してきています。

制度に疑問をもつ当事者の声も上げておかねばLGBT全体に関わってしまいますから。
そのこともあって、今回の報道でもあるように当事者の中で意見が様々にあるので要望されても松山では今は考えていませんとされているのです。LGBTのことに松山市は無関心だ!ということではありません。

新聞等では集めた署名の内容についても違和感ある数として厳しめに書かれていました。
松山以外の数を増やしてもあまり意味がないでしょうし、隠れた当事者が大多数である以上、地元で直筆署名を集めることには無理があるでしょう。
ある新聞では地元当事者の署名が千人集まったかのような文面の記事がありましたが誘導が過ぎるのではないでしょうか。


最後に愛媛や松山に暮らすLGBTのみんなへ!

松山ではレインボープライド愛媛から行政へ当事者の立場を様々に伝えてきています。
長年の取り組みもあって、フレンドリーに対応してくれています。
署名を集めなくても簡単に伝えられますから、当事者の皆さんでも要望などがありましたら私たちに気軽に話に来てください。

社会の無理解が改善するには確かにまだまだかかるでしょうが、このような環境でも自分たちは楽しく暮らすことができます。

同じ仲間の友達もできます。素敵な恋愛もできるし、一緒に暮らすこともできます。またおひとりであっても不幸だと思う必要はないのです。結婚できることが幸せでもありません。
そして、パートナーシップが松山で進まないからとがっかりしたり不幸に考えてしまう必要はまったくありません。

この制度には期待できませんが、自分たちの人生や生活を、リアルにしなやかに切り開いていく工夫はたくさんありますよ。
虹力(にじから)スペースではそういった知恵も話し合っていますから、変に考えないで一緒に切り開いていきましょう!!


朝日新聞 「性的少数者に誇りを」パートナー制度導入求め、松山市に署名3万筆
https://www.asahi.com/articles/ASQ1H71QTQ1DPTLC01H.html

毎日新聞 「愛媛でもパートナーシップ制度導入を」市民団体が松山市に署名提出
https://mainichi.jp/articles/20220115/k00/00m/040/070000c

南海放送 パートナーシップ制度導入を 市民団体が要望【愛媛】
※動画あり
https://www.rnb.co.jp/nnn/news1108feou8uozgip8oc7.html


レインボープライド愛媛
http://rainbowpride-ehime.org/
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