そのチェーン展開しているカレー店では注文するためにまず出入口にある券売機で食券を買う必要があった。谷川史郎は、白枠の冷蔵庫よりは小さなその機械の前に立ち、表面に幾つも配列されている楕円形のプラスチックのボタンを見つめていた。
千円札を券売機に挿入するとすべてのボタンにライトが点灯する。そこから大盛ビーフカレー750円のボタンを選び押す。ジーカシャンというような機械音と共に大盛ビーフと印字されている小さな紙が券売機の下の銀の鉄製のスペースに落ちてきた。
谷川史郎は食券を取り、釣銭レバーを下へ倒して排出された硬貨を取りそれを財布に閉まう。
そして食券をカウンター席に座って店員さんに渡すと軽くため息をついた。
「ビーフ大盛り 一丁」という力溢れる元気いっぱいの声が御徒町の一角の店内に響いた。時刻はまだ午後4時にもなっていないようだった。
谷川史郎はアメ横から御徒町を歩き様々と見て回っているうちにすっかり空腹になっていた。外食したのは久しぶりの事であった。
その頃、宮下孝俊は上野の不忍池を周回していた。日曜日の午後、家族連れで溢れていた。宮下孝俊は1人で歩いていた。左腕に巻いているカシオの時計は午後3時45分を示している。
少しばかり急な階段を上がり、とうにシーズンは過ぎて枝葉だけになっている公園の桜の並木道を通って、西郷隆盛像を目指した。銅像の後頭部が木の枝越しに見えて、ようやく辿り着くと西郷隆盛像を下からまじまじと見上げた。
宮下孝俊は買ったばかりのデジカメで西郷隆盛像を撮る。そして階段を下ると上野の街を散策した。カラオケ館の5階だてのビルから御徒町方面へと歩いた。アメ横通りはすぐ左向こう側に並行するようにあるのだが日曜日の午後4時という、時間帯にそこに入り込むことが宮下孝俊にとってはあまり気の乗らないことであった。決して広いとは言えないアメ横通りよりは、道路沿いの道を自動車の排気ガスを吸い込みながら歩くことを選んだ。
一方、谷川史郎はカウンター席で水を飲みながら、5分もしない内に差し出された大盛りのビーフカレーをスプーンで勢いよく食べた。そして10分もしない内に食べ終わると御徒町のカレー店を出てまた歩き出した。その前にあるバッグ屋にはドイツの国旗が小さなロゴとしてつけられた手さげのカバンなどが並べられていて谷川史郎の知識欲を刺激する。
横断歩道に差し掛かると、東京無線のタクシーがいつものように停車していた。横断歩道を渡り、ラフな格好をしている人が多い事で谷川史郎は今日が日曜日だということを何よりも実感した。ドラッグストアを通り、JR御徒町駅の高架のコンクリートの壁に沿って上野へと歩いた。
谷川史郎はアメ横に入るとABCマートで黒のコンバースの靴を見ていた。
宮下孝俊はアメ横を歩いていた。やはり混み合っていたが、どんな風に人が交差しているのかということが知りたくなり久しぶりに見て回った。
ABCマートの前を通ると靴をじっと見ている冴えない男が視界の片隅に入る。宮下孝俊はその男を自分となんだか似ているなと思い上野の街を引き上げて家に帰った。
谷川史郎は黒のコンバースを購入した。そしてアメ横を抜けて上野公園に入り階段を上った。西郷隆盛像を見ていると不意に写真が撮りたくなり公園にある売店でインスタントカメラ24枚撮りを買ってすぐ袋を空け、西郷隆盛の前に立つとやはりインスタントカメラの小窓を覗き込んで写真に収めた。
千円札を券売機に挿入するとすべてのボタンにライトが点灯する。そこから大盛ビーフカレー750円のボタンを選び押す。ジーカシャンというような機械音と共に大盛ビーフと印字されている小さな紙が券売機の下の銀の鉄製のスペースに落ちてきた。
谷川史郎は食券を取り、釣銭レバーを下へ倒して排出された硬貨を取りそれを財布に閉まう。
そして食券をカウンター席に座って店員さんに渡すと軽くため息をついた。
「ビーフ大盛り 一丁」という力溢れる元気いっぱいの声が御徒町の一角の店内に響いた。時刻はまだ午後4時にもなっていないようだった。
谷川史郎はアメ横から御徒町を歩き様々と見て回っているうちにすっかり空腹になっていた。外食したのは久しぶりの事であった。
その頃、宮下孝俊は上野の不忍池を周回していた。日曜日の午後、家族連れで溢れていた。宮下孝俊は1人で歩いていた。左腕に巻いているカシオの時計は午後3時45分を示している。
少しばかり急な階段を上がり、とうにシーズンは過ぎて枝葉だけになっている公園の桜の並木道を通って、西郷隆盛像を目指した。銅像の後頭部が木の枝越しに見えて、ようやく辿り着くと西郷隆盛像を下からまじまじと見上げた。
宮下孝俊は買ったばかりのデジカメで西郷隆盛像を撮る。そして階段を下ると上野の街を散策した。カラオケ館の5階だてのビルから御徒町方面へと歩いた。アメ横通りはすぐ左向こう側に並行するようにあるのだが日曜日の午後4時という、時間帯にそこに入り込むことが宮下孝俊にとってはあまり気の乗らないことであった。決して広いとは言えないアメ横通りよりは、道路沿いの道を自動車の排気ガスを吸い込みながら歩くことを選んだ。
一方、谷川史郎はカウンター席で水を飲みながら、5分もしない内に差し出された大盛りのビーフカレーをスプーンで勢いよく食べた。そして10分もしない内に食べ終わると御徒町のカレー店を出てまた歩き出した。その前にあるバッグ屋にはドイツの国旗が小さなロゴとしてつけられた手さげのカバンなどが並べられていて谷川史郎の知識欲を刺激する。
横断歩道に差し掛かると、東京無線のタクシーがいつものように停車していた。横断歩道を渡り、ラフな格好をしている人が多い事で谷川史郎は今日が日曜日だということを何よりも実感した。ドラッグストアを通り、JR御徒町駅の高架のコンクリートの壁に沿って上野へと歩いた。
谷川史郎はアメ横に入るとABCマートで黒のコンバースの靴を見ていた。
宮下孝俊はアメ横を歩いていた。やはり混み合っていたが、どんな風に人が交差しているのかということが知りたくなり久しぶりに見て回った。
ABCマートの前を通ると靴をじっと見ている冴えない男が視界の片隅に入る。宮下孝俊はその男を自分となんだか似ているなと思い上野の街を引き上げて家に帰った。
谷川史郎は黒のコンバースを購入した。そしてアメ横を抜けて上野公園に入り階段を上った。西郷隆盛像を見ていると不意に写真が撮りたくなり公園にある売店でインスタントカメラ24枚撮りを買ってすぐ袋を空け、西郷隆盛の前に立つとやはりインスタントカメラの小窓を覗き込んで写真に収めた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます