映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

2021年ベスト。

2023年11月22日 | 年間ベスト
すっかり投稿を忘れていたので、今さらですが2021年に見た映画。


ずいぶん時間が経っているので、タイトルを見てもどんな作品だったか全く思い出せない映画もいくつもあるほど。当時の感覚とは異なるかもしれませんが、印象に残っているものを紹介します。



・インスタント・ファミリー Instant Family (2018年 アメリカ)
・Yoji Yamamoto, The renegades of fashion (2020年)
・パリス・ヒルトンの真実の物語  This is Paris (2020年 アメリカ)
・イーディ、83歳 はじめての山登り Edie (2017年 イギリス)
・パーフェクト・ケア I care a lot (2020年 アメリカ)
・アイ・アム 〜世界を変える力〜 I am. (2010年 アメリカ)
・バタフライエフェクト Butterfly Effect (2004年 アメリカ)
・Don't flush your freedom (2021年 アメリカ)
・Eat, Pray, Love (2010年 アメリカ)
・ジェリーフィッシュ Jellyfish (2007年 イスラエル)
・タルーラ 〜彼女たちの事情〜 Tallulah (2016年 アメリカ)
・ソウルフル・ワールド Soul (2020年 アメリカ)
・ジョーンの秘密 Red Joan (2018年 イギリス)
・サウンドオブメタル Sound of Metal(2019年 アメリカ)
・1917 (2019年 イギリス)
・ノマドランド Nomadland (2020年 アメリカ)
・パラサイト (2019年 韓国)
・ダークウォーター Dark Water (2019年 アメリカ)
・アワー・フレンド Our Friend (2019年 アメリカ)
・ヴィヴィアン・マイヤーを探して Finding Vivian Maier (2013年 アメリカ)
・ストップメイキングセンス Stop Making Sense (1984年 アメリカ)
・ファイトクラブ Fight Club (1999年 アメリカ)
・ロケットマン Rocket Man (2019年 アメリカ)
・パパと娘のハネムーン Like Father (2018年 アメリカ)
・モリーズ・ゲーム Molly's Game(2017年 アメリカ)
・ガール・オン・ザ・トレイン The Girl in the Train. (2016年 アメリカ)
・Lady Boss. Jackie Collins (2021年 イギリス)
・ラスト・ナイト・イン・ソーホー  Last Night in Soho (2021年 イギリス)
・秘密の森の、その向こう Petit Maman(2021年 フランス)
・スペンサー ダイアナの決意 Spencer(2021年 イギリス・アメリカ)
・消えない罪 The Unforgivable (2021年 アメリカ)
・ジェイミー Everybody's Talking about Jamie (2021年 イギリス)


ドキュメンタリー・ドラマ
・The Boyband con (2019年 アメリカ)
・アンディ・アイアンズ:神に愛された男 Andy Irons:Kissed by God(2018年 アメリカ)
・ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方 Britney vs Spears (2021年 アメリカ)
・Bad Influencer:The great Indra con (2021年)
・Naomi Osaka (2021年 アメリカ)
・Jamie, Drag Queen at 16 (2011年、イギリス)
・Nine Perfect Strangers (2021年 アメリカ)
・クラッシング  Crashing (2016年 イギリス)





期待していたけど、ちょっと違ったなーという作品は、こちらの2点。


・ソウルフル・ワールド Soul (2020年 アメリカ)
・ノマドランド Nomadland (2020年 アメリカ)




逆に、予想以上に良かった!と印象に残っているのは、この


・パリス・ヒルトンの真実の物語  This is Paris (2020年 アメリカ)

「お騒がせセレブ」として一斉を風靡した、パリス・ヒルトンのドキュメンタリー。
彼女のセレブライフは本当にはちゃめちゃで、日本でも一挙手一投足が報道されていましたが、なんだかずっと「どこまでが本当なの?」という疑念がありました。このドキュメンタリーでは、10代後半で入れられた寄宿舎学校で身体的・精神的虐待を受けた経験を赤裸々に公表し、その後のお騒がせセレブとなった理由が明らかになります。高く甘ったるい声で話していた彼女ですが、その声色も作り上げていたもの。そういうことだったのか…、と色々なことが腑に落ちる作品。彼女が声を上げることで、当時同じように被害を受けていた同級生たちのみならず、卒業生たちも声を上げられるように。また、権力により押さえ込まれるという経験からは一番遠いところにいると思われていた彼女が被害を受けていたという事実、そして声を上げたことで、ここから彼女の社会的立場や役割は変わっていくだろうし、彼女はその覚悟を持って行動に移したのだろうなと思った。本人がそれを望む望まずに関わらず、そういう大きな役割を持って生まれてくる人っているんだよね。



・パーフェクト・ケア I care a lot (2020年 アメリカ)

ロザムンド・パイクは、『ゴーン・ガール』同様、一見誰よりもまともで常識があるけど実は心の底から狂ってる、という役柄が抜群に合うなとあらためて。個人的にはこれは「インパクト勝負」の一本で、彼女が見せる狂気を心の底から腐っている演技は感嘆するほどに素晴らしかった。実は彼女は好きな俳優ではないのだけど、それでも認めざるを得ないほどの演技力。



・ダークウォーター 巨大企業が恐れた男 Dark Water (2019年 アメリカ)

マーク・ラファロ主演の実話を元にした社会派ドラマ。デュポン社の公害被害を突き詰め請け負った弁護士の話。色々な国や文化圏の映画や番組を見るけど、どこまで史実に忠実かどうかは別にして、ここまで実際の出来事(事件)を深く描き切るのはアメリカという文化だからこそできることだったりするのかな、と考えさせられたりもした。日本だと、ここまで実際の企業名を出してネガティブな事件を映画、ドラマにするというのは難しいのではないかな、と。マークに関しては、『スポットライト』でもアメリカのカトリック教会のスキャンダルを暴く作品に参加しているけど、こちらも含めて関心した作品。



・サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ Sound of Metal(2019年 アメリカ)

聴覚を失っていくミュージシャンの葛藤と、その事実を受け入れていく様を描いた作品。リズ・アーメッドのビジュアルがこれ以上ないほどに役にピッタリで、ミュージシャンとしてのファッション的なかっこよさもある。しかし作品自体は、心の動きにフォーカスを当てた静かな作品。そのギャップもいいなと思う。また、パキスタン系であるリズが、西洋国(この場合はアメリカ)で憧れられる「かっこいいミュージシャン」という役を演じたことは、実は映画史において結構大きな出来事なんじゃないかと思う。これは映画業界だけの話ではなく、社会の人種に対する見方がそれだけ変わってきていることを反映しているわけだけど、その選択自体を大々的にアピールするわけではないところも「世の中って確実に変わってきているんだな」というとてもポジティブな変化を感じたところでもあったし、何より彼の配役は抜群だった。



・ロケットマン Rocket Man (2019年 アメリカ)

エルトン・ジョンの伝記映画。先に紹介したパリス・ヒルトンのドキュメンタリーに通ずるものがあるのですが、この映画を見て「ああ、なるほどね。そうだよね」と彼に対してなんだかうまく処理できなかった感覚がわかりやすく説明された感じがした。主演のターロン・エガートンは劇中の歌を自ら歌っていて、かつてのエルトンを彷彿とさせるものもあったし、この映画の前後にはエルトンのコンサートに彼が飛び入りすることも何度か。また、成功している芸能人って皆多少なりともそうなのだろうけど、自分の人生のいわゆる汚点となることもここまでオープンにできる覚悟と心の強さにあらためて感心。主要な役所にジェイミー・ベルが出演しているのも嬉しかったなー。






2021年の個人的ベスト3の発表です。



第3位

『ラスト・ナイト・イン・ソーホー  Last Night in Soho 』(2021年 イギリス)

公開時に、映画館で鑑賞。
ロンドンのSOHOはとても好きな場所で、映画の中に出てきたような妖艶な雰囲気を今も持ち続けている歓楽街。主要な3人は皆好きな俳優でもあるし、それぞれの良さがうまく出ていたなと思う。個人的にマット・スミスは一見好青年風だけど、一筋縄ではいかない気持ちや思考のよじれのようなものがある、心の底に黒さを持った役柄がすごくハマる人だなと思うし、アニャ・テイラー=ジョイの壊れそうな繊細さのある完成された美しさは、夜の街で簡単に壊されていく様が悲しくもピッタリだった。トーマシン・マッケンジーの落ち着いているけど若く青臭さの残る雰囲気は、Sohoの煌びやかさに憧れる田舎の子の雰囲気を漂わせていて、街と他の役柄とのギャップが素晴らしかった。話の内容も面白かったけど、それよりも配役の絶妙なバランスと、今も変わらないソーホーのあの独特の雰囲気が描かれていることに心奪われた一作。



第2位

『パラサイト』 (2019年 韓国)

いやー。これはやっぱり面白かった。映画なんだけど、「どこまで作り話なんだろう」と思えてしまう。韓国の階級社会というかクラスの違いは、良い意味で観ながらとても居心地が悪く、ゾワゾワとした感覚を持ちながら見続けていくと、どんどん「嘘でしょ!?」という流れや出来事が矢継ぎ早に襲ってくる。これ以上ないほどに正しいエンターテイメント映画でもあって、見事!アッパレ! これまで見たことがある韓国映画は、「儚い女性と強い男」という美しい夢のような典型的ラブストーリーとか韓流人気がつき始めた頃に多かった軍事映画(といっても数えるほどしか見たことないけど)だったのだけど、パラサイトはそれのどちらでもなく、ある意味とても生々しい「これぞ韓国!」を出してきたし、間延びが本当になかった。テレビでやってたらまた見ちゃいそうな引力のある作品。




第1位

『1917 命をかけた伝令』 (2019年 イギリス)

私の中では、ダントツ。これ、本当に映画館で見たかった。
ここまで正統派な戦争映画って、近年では結構珍しいんじゃなかろうか。戦争に駆り出された人々の心情にスポットを当て丁寧に描かれている点では、伝え方は正反対のように見えるけど、『プラトーン』にも通じるものがあるように感じた。内容は、自分の兄を含む1600人のイギリス軍の兵士たちの命を救うために、作戦の中止の連絡を伝達することを命じられた二人の若い兵士の旅路を中心に描かれている。わかりやすい反戦映画というよりも、淡々とその戦争に参加することになった兵士たちの心の動き・揺れを一定の距離を保ちながら客観的に本当に丁寧に掬い取っていて、半ばドキュメンタリーを見ているような感覚にさえなった。また、主役級の俳優たちが惜しげもなくキャスティングされているけど、映画の性質上ほんの一瞬しか出てこなかったり。その使い方がたまらなくいい。いつかあらためてもう一度見直したいと思っているのだが、個人的にはアンドリュー・スコットとエイドリアン・スカーボローの役柄が本当に痺れた。特にエイドリアンは、長年「名脇役」として活躍してきた人で、今年見たイギリスのドラマ『クラッシング Crashing』にも重要な役どころで出演されている方(余談ですが、2022年には『警部補アーノルド チェルシー捜査ファイル』で初の主役を射止めています(アマゾン・プライムで視聴可)。戦争映画が苦手、という方にもぜひ見てほしい作品です。






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