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一度、何かの折に自転車で通りかかったパン屋があって、
なんとなくその店構えや、
外のベンチでテイクアウトして仲良く食べている老夫婦の図も良く、
気になっていた。
しかしいざ買おうと自転車でその辺りをぐるぐる走るも見つからず、
私の中でまぼろしとなっていたパン屋(注)が、
先日ひょっこりまた自転車で通りかかった時に見つかった。
しかしその日は定休だったらしく、また買うことはできなかった。
で、昨日の夕方、ようやく足を踏み入れたそのお店は、
まぼろしにふさわしく、なんだか一風変わっていた。
普通のパン、が売っていなくて、
みんな噛んじゃうような名前の付いた欧州のパンばかりだった。
壁には「古代エジプトパンの焼き上がりは、…」、…。
古代エジプトパンとは?、すごくすごく堅そうだ。
(その日は焼きあがり予定日ではなかったので、謎のまま。)
試しに明日の朝の食パンでも買おうっと、と思って出かけたのだが、
棚の一番上に一斤残っていた食パンは、300いくらとかで凄く高いので買えず、
旦那用にと小さ目のを三つだけ試しに買ってみた。
どれも噛んじゃう名前だったので、
割と舌足らずな私は、これとこれとこれ、としか言えなかった。
オーストリアのパンとかドイツの伝統的な、とか、そういう説明が書いてあった。
しかも受け取った紙袋に書いてある店名には、
「ベーカリー ○○」ではなく「ベッカライ ○○」と書いてあった…。
これってドイツ語だっけ?
翌朝、私が起きてもめずらしく優汰が寝ていてくれたので、
旦那にちょっと分けてもらう。
三日月型のパンは、フランスパンみたいなのでちょっと焼いたら皮がぱりぱりで美味しかった。上には塩を振って焼いてあるようだ。
一番下のパンは、クロワッサン的なものにピーナッツクリームを塗って焼いてあるみたいで、甘くパサっとしていた。
もう一つは分けてくれなかったから分からない。
まぼろし的に美味しかったかというと、それはどうかと思うけど、
たまにはこういう変わったパンの朝があってもいい。
また、しばらくしたらあのパン屋を探しに行ってみよう。
(注)大好きな漫画「動物のお医者さん」の中の、二階堂君が見た「猫の泉」みたいな、まぼろし感覚です。