ピンズ屋のひとりごと

オーダーメイド専門のピンズメーカー「ピンズファクトリー」のスタッフが、交代で日常を語っていきます。

しょうがねえな

2010-01-18 16:30:33 | Weblog
僕は地元の飲み屋で嫁さんと2人で飲むことがままある。
先日は、前から興味があったお店に行ってきた。
そこはいつ覗いても人で溢れて活気があり、
地元の人に愛されている赤提灯的雰囲気のナイスな居酒屋だ。
肴も安くてうまいし肩肘張らずに飲める雑多な雰囲気も心地よい。

しかし残念なことが一つあった。
隣の席のご婦人二人組が、さらに隣の席のおじさん二人組に絡まれているのだ。
両組共に50はとっくに越えているだろうという風貌だ。
ご婦人二人組みが、会社帰りのように見えるそのおじさん二人組に
一方的に話しかけられて仕方なく対応している様子だった。

そのおじさんが話かけている内容がひどい。

100%下ネタなのだ。
そして表現も露骨すぎる。
最悪だ。
真っ盛りの男子校生徒でもここまで露骨に話さない。
もう少しオブラートに包んでも良かろうもの。
それが粋というものでは…
いや決して粋ではないか、失敬。
それはもう厚手のバスタオルで包んでも、
平気で突き破れるほどの下劣極まる内容だ。
とても会社のブログでは再現できないだろう。
女性に絡むその姿は「変なおじさん」ほどの可愛げもない。

とても耳障りだ。
その不愉快さをビールで流し込んでも、
要所々々で下ネタキーワードがいちいち耳に残る。

しまいには
「すごくタイプだよ♪」
などとご婦人に言い寄る始末。
僕はコントを観てるような滑稽さと
現実の胸くそ悪さが混濁した気持ちになり、考え込んでしまった。

気持が二極化した。
「鎮まれ、自分。たかが酔いの席での戯言じゃないか。
不快を笑いに変えて自分の飲み方を楽しめば良い!無粋な奴め。」
「コントに見立てて自分の気持ちを誤魔化すんじゃない!
窮屈に笑ったところで気持ちが収まるものか。
お前の怒りは一般市民としての健全な感情だ。」

もう頭の中ではおじさんの胸ぐらを掴んでいた。

すると
「ごめんね、お兄さん。」
とご婦人方が僕に声をかけてきた。
たぶん僕が渋い表情しているのを見たのだろう。
それとも僕が一昔前の古いタイプの顔立ちをしているから興味を持ったのだろうか。

何だかホッとして少し恥ずかしさを感じた。

店を出た後に嫁さんに自分の憤りと不愉快さの説明をしたが、
「飲食で働いているとあんな人ばっかりだよ。」と端的に諭された。
男ってしょうがねえな、と男を代表して独り言を吐く。
男としては歳を重ねても艶っぽさは持っていたいが、
ああはなりたくないなと思って酔いが醒めた冬の夜だった。

小林朋広


PINS FACTORY(ピンズファクトリー)は
オリジナル・デザインのPINS(ピンズ・ピンバッジ・ピンバッチ)を
受注製作する専門メーカーです。
http://www.pins.co.jp
コメント
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