「ま、またやってしまったー!!」
5年前の夏、阿佐ヶ谷。わたしは4回目のとある失敗を犯していた。
同じ映画館で、同じ監督の、同じフィルムを4回観にいき、
同じ場面で4回とも眠ってしまったのである。
その監督の名を、ユーリ・ノルシュテインという。
ロシアのユダヤ人アニメーション作家で、アートアニメを好きな人なら
必ず知っているような、マイナー界のメジャーじいさんである。
その映画の名を、「話の話」という。
そんなノルシュテイン翁の“歴史上、世界最高のアニメーション”に
認定された、代表作である。
で、4回も居眠りしといてなんですが、
「話の話」はとてもとても素晴らしいアニメーションです。もにょもにょ。
ノルシュテインと、美術監督を務める夫人フランチェスカ・ヤールブソワが描く、
えも言われぬ表情を持った、キャラクターたち。
今時の3Dアニメには似合わなそうな、暗く静かな音楽。
そして、キャラクター(背景も)の一挙手一投足は人の手でちまちま動かして作ると
いう、切り絵アニメーションゆえのたまらん動き。気が遠くなりそうな作業だぜ☆
しかし、なぜか毎回「牛が女の子と縄跳びをするシーン」、という
文章だけ読むとノルシュテインの作風が一切わからんその場面で
夢の国へと旅立ってしまい、↑↑に戻るのでありました。
さて、そんな小娘一匹眠らせるくらい朝飯前のノル様の展覧会が、
葉山県立近代美術館で開催中ということで、おじゃましてきました。
話の話/ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ
葉山館は駅から海岸まわりのバスで20分弱の、広い庭園が素晴らしい美術館。
休日の昼間ということで、そこそこ人は入っていましたが、
並ばずにゆっくり鑑賞できましたよ。
今回は館内丸ごと使ってユーリ・ノルシュテイン&フランチェスカ・ヤールブソワ展
だったので、原画やマケット(模型)、作家の写真、昔の絵画など
製作過程が存分に見れて、彼らのアニメにかける情熱には心が震えます。ぷるぷるっ
特に、ノル嫁であるところのフランチェスカ・ヤールブソワの丁寧かつ、
幅のある仕事っぷりにはほんと敬服。松尾芭蕉まで描いちゃうんだよ、この人は。
実は旦那よりフランチェスカがすごいのでは・・という思いが過ったりして。
彼らの仕事の集大成であるアニメーションは、
午前と午後一回ずつ違うプログラムで、上映されていますので
こちらはなんとか整理券を貰って観ておきたいところです。
わたしも午後の部の「アオサギとツル」、「話の話」、「冬の日」、
「外套(部分)」を観てきました。5度目の正直、「話の話」をついに寝ずに観ることができて満足満足。
宮崎駿や高畑勳の日本のトップクリエーターからも支持される、
映像の詩人ノルシュテイン。
その仕事場を覗いたかのような展覧会、超オススメですじゃん。
おハナでした。
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