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創作怪談 第三夜 審判 前編

2006年07月21日 23時24分52秒 | ウェブノベル
その国は幼い少女によって統治されていた。
彼女の言葉は神の言葉であり、それに背くことは誰にも不可能だった。
彼女は、金髪の巻き毛をいじりながら大広間の長イスに腰掛けていた。
まだ遊びたいさかりの歳なのに、彼女にはそれを許されぬ仕事があった。
国の政策の決定から、罪人への判決まで、すべてに指示をださねばいけない。

「あっち、こっち…死刑、死刑、無罪…死刑…」

いいかげん退屈な毎日にはうんざりだ…。 議題や罪人の罪状などどうでもいい…。
ひととおり審判を述べると、近くにいた大臣たちが驚いた顔をして再度確認をした。

「よろしいのですな。」

次の日、罪人たちの公開処刑がおこなわれた。
円形の球場内に、ライオンが放たれる。
少女は、その死刑囚の中に、尊敬する兄の姿を見つけた時にはすでに遅かった。
本来ならば見逃されるはずの罪だった。
ただ少女がいいかげんに審判をくだしたために、彼は処罰されようとしている。
生きたまま獣にねじふせられ肉を引きちぎられる。
体が一回大きくケイレンをおこす。

少女は気を失しない倒れこんだ。

第三夜 前編終わり、後編に続く
(この話はフィクションです)

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