三体Ⅱ 黒暗森林 :THE DARK FOREST 下
劉慈欣:Liu Cixin
邦訳:大森望 立原透耶 上原かおり 泊功
装画:富安健一郎(株式会社INEI陰翳)早川書房デザイン室
この作品の読後感は、暗黒森林じゃなくて黒暗(くろ餡みたい・・)森林、とか茶化している御仁は、本書の終盤でようやく開示される黒暗森林理論に結構なショックを受けるかもしれない・・
昨今の人権絶対尊重主義とかSDGSエコロジー型社会とかボランティア共生社会とかセーフティネットとか・・・・(いくらでも出てくる出てくる)いわゆる耳障りの良い、ポリティカルコレクトネスばっちりの御言葉の数々が実は上っ面だけの張りぼて単語であったり、逆にコレらがヤツらの内面深層の邪悪で無慈悲な実体を隠蔽欺瞞するための標榜に見えてくることだろう。
果たして、これから読む貴方が、読了後にどのように感じるか、は貴方次第だが、ほとんどの人が間違いなく、本書上下巻の興奮歓喜の読書体験の果てに一抹の寂しさ、現実の無常感を味わっていたとしたら、その源泉はこの黒暗森林理論なのだろうと思う。