幻想小説周辺の 覚書

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三体Ⅲ上

2022-07-30 21:30:00 | 書評 読書忘備録
劉慈欣 三体Ⅲ死神永生 上

まだ上巻のみ読了であります 
評価、批判、お薦め、ネタバレ等は自粛させて頂きますが やっぱり三体!読了したが最後、これについて話したい、書きたいリビドーは抑えることができそうにありません。。。。。そこで小出しに、ちょっとだけ独り言っぽく投稿します。

さて、読むときの注意ポイント、気づいたこと、こんな風に読むと楽しめるよーーー、といったことを少々。

・読むときのポジション:三体三部作は読んだ人には実感できるのだが、読めてない人・手に取るのを躊躇してた人・にとっては理系用語連発の頭のイイヒト向けの知的SF本、と感じられている雰囲気なのだ。
だが実際はそんなコトない、心配無用、難し気なワードが次々出てくるがわかるモノはそれなりに、わからないモノは、まあこんなもんだろう・・・・と勝手に想像して(間違ってても全然かまわない、そんな厳密なものじゃないから)読み進めて構わない。
そんなことよりも、アニメかマーベル映画でもみるようにこの物語のスピード感とか展開のどんでん返しを愉しむことに徹したほうがいい。

・その上で、キャラクターに思い入れ出来るよう自分で映像化するなら役者はこの人!といったキャスティングをして読むと楽しい。
自分では現時点で  
羅輯:キアヌリーブス(今の老けたキアヌ)、
トマス・ウエイド:サミュエルジャクソン、
アイAA:芦田愛菜、雲天明:吉岡秀隆、
智子:栗山千明、
程心:このキャストだけは内緒、ヒミツ❤️








三体I

2022-07-30 19:29:00 | 書評 読書忘備録
#三体THE THREE-BODY PROBLEM  #劉慈欣CixinLiu  447ページ
訳 大森望(フィニッシュワーク) 光吉さくら・ワンチャイ(翻訳)ケン・リュウ(英訳)
監修者 立原透耶 装画 富安健一郎 2019.7.15早川書房初版(2019.7.217版)

読書、小説の評価とはその作品の完成度とか美しさとは別に、その作品の持つ熱量の大きさとか情報量の高さとかいった要素も確かにあるようだ。
この2019年の中国発SF大ブームヒット作の「三体」は明らかに後者だ。
「この私が!こんなにも読了に時間をかけさせられるとは!!よくも、よくもぉお~ッ!!」と一人独演会するぐらい手こずらされも、楽しまされもしてしまった。(笑)

SF好キ、SF映画・ゲーム好キの方であれば私と同様にしばしの間この世界の虜になることだろう。
前大統領バラクオバマ、FBのマークザッカーバーグ、ヒットメーカー・ジェームズキャメロンと(ランクは落ちるが)新海誠、東浩紀、といった面々が諸手をあげて賛辞を贈るのも納得できる。

よく読めば、高次に進化した異星人が領土侵略野心満々の現代人並みの精神構造しかなかったり、彼らの地球攻勢が何百年もかかる大船団の集団移住と先行する陽子AIの地球的規模のイタズラであったり、と冷静に夢から覚めてしまえば、なんじゃこれ的なツッコミところ満載ではあるが、一旦この物語世界に没入してしまえば、この作品内に出てくるヴァーチャルゲーム:三体に参加したゲーマーのように圧倒され、翻弄され、感心しまくるしかない。

2つの世界と時間を編み込んだ緻密な物語構成、過密な科学情報量を盛り込んだストーリー展開、これらは読者への物語参加への障害でもあり、物語世界参加への必要装備でもある。
うっとおしく厄介ではあるが、欠かせなくいもので、無くては成り立たないものなのである。
頑張ってクリアしていっていただきたい。(ちなみに本作は三部作中のまだ一部、ようやく世界観と人物像の説明が成され、物語が始動しはじめた、といった段階である)

クラーク「幼年期のおわり」小松左京「日本沈没」などがよく引き合い参考に挙げられるが、この作品で地球を侵略に来る(予定の)異星人たちはガミラス帝国(by 宇宙戦艦ヤマト)だと思った。
要は、友好的でもないし、高次の精神を持つ生命体でもないのである。
手っ取り早く、自分たちの星が三つの太陽を持つ惑星で棲みづらく危険なので、地球に集団でやってきて、地球人を滅ぼして、成り代わってしまえ、という人たちなのだ。
一部ではようやく奴らが地球の存在を見出し、地球への移住船団を仕立て、前準備の攻撃をしかけ始めるところで第一巻が終わる。
二部、三部ではいよいよ2星間の直接的なコンタクトと攻防が始まるはずだ。
とりあえずここまで来たらなるべくネタバレを耳に入らないように細心の注意を払おうと思っている。

本作品のキャラクターの私的一押しはなんといっても不良警察官の史強であることには他の読者も異論はないだろう。
異星人との圧倒的力の差を見せつけられても折れない心を持ち、酒とタバコで笑い飛ばす史強アニキ。
信じられない超自然現象に「コイツは裏でタネ仕込んでる奴がいる手妻だ」と看破する鋭さ。 
侵略者に「きさまらは虫ケラだ」と脅されて全員ビビッてしまっている中で、ただ一人イナゴの大群が大麦原を覆い尽くしている場所に主人公を連れてゆき「この虫ケラたちのしぶとさを見てみろ」と豪語する豪胆さ。
そこにシビレる、憧れるぅ・・・!!なのよ
当然、映画化も予定されてるらしいが彼の配役は決まっているのだろうか?
自分なら、「レミゼラブル」のジャベール警部ことラッセル・クロウを激しく推薦する。
あのガタイを無精ひげ、そして腕っぷし、意外にもつぶらな瞳、ピッタリ、ジャストフィットである。
是非キャメロン監督にはお願いしたいものです。(歌は歌わせなくていいからネ)








三体II上

2022-07-30 19:25:00 | 書評 読書忘備録
三体Ⅱ 黒暗森林 上 劉慈欣 

いよいよ村上春樹化してきた三体の定期刊行、第Ⅱ部。
「三体」が2019年7月に早川書房から出版、版数を重ね13万部越えとなり、今年2020年6月コロナ自粛の真っ最中にこの第Ⅱ部上下巻が出版された。
そして第Ⅲ部は2021年春の予定だという。

実際、各SNSやネット情報識者の間では、
「早くも読んだ、しかも週末一気読み!」とか
「読みたくてリスト入ってるけど積読が多くて、手が出せてない、でも絶対読む!」とか・・・
コメント百出しており、これにはかつてのピエールルメートルやサピエンス全史的な熱の高まりを感じる(ハリーポッターの翻訳待ち刊行スケジュールも同様だが・・・こちらの方は、ちと引き合いに出すのは・・ww)

それで、今の時点では自分は上巻を読み終えたばかりなので、自分には評価も感想もだす資格は無いのだが、箱根駅伝のように まずは往路を振り返っての印象に残ったレース展開などは述べてもよいかと思う。

第Ⅱ部であるが、結論から言えば、結構面白い!!
前回だと、暗-----っ・くて、陰々ネチネチとして始まった中国での文革の話や、その後の鬱つとおしい監視と統制の共産党社会:みたいなバックグラウンドを著述する必要があったのだが、今回のⅡ部は、ほぼリアルタイムの現代か僅か先の未来だ。
いきなりステーキ、ではないがいきなり三体侵略宇宙人と対抗する地球側国際組織のバトルに読者は放りだされる。

とはいうものの、第Ⅱ部上巻だと(多分下巻もだ)三体宇宙艦隊は遥か宇宙の向こうから地球に向かって絶賛運行中進行中の途上である。
奴らが襲ってくるのは今から、4世紀400年先という短いんだか、長いんだか、よくわからん中途半端な未来の終末戦争なのだ。
なので、ここでは長ーーい、長ぁーーい、空間と時間を挟んで、来るべき決戦を前に、如何に自軍を勝利させるか?、という知略とフェイクを織り交ぜた前哨戦、デスノートかハンター×ハンターのようなの頭脳戦が繰り広げられる。

地球側のプレーヤーは4人の面壁者、アメリカの凄腕の元国防大臣、南米の革命国家大統領、革新的トップクラスの脳科学者、この三人がそれぞれ人類を勝利に導く全太陽系規模の壮大な戦略を頭脳内で構築し、プロジェクトXを進めつつ、三体星人側の破壁者と智謀の読み合い、騙し合いをする。。。。
そして4人目の面壁者が平凡でオタクな大学の社会学の教授でⅡ部の主人公だ。(実はド本命の最終兵器的ポジション、ラノベでよくあるヤツだww)。

このように、三体Ⅱ部は、体裁も文章の格調も科学用語も、最新で、難解っぽいので読者は気圧されやすいのだが しかして、その実態は週刊少年ジャンプ、なので大丈夫だ。安心して取っ組み合ってよろしい。

ちなみに、作者:劉慈欣は、斯様に隠れ日本エンタメ・SFオタクなので、本書の堅い鎧の下にところどころ、日本エンタメのちょい出し楽屋オチ、が出てくるので、これらを愉しみに読むのもお薦めですよ。
 
特攻作戦で三体の敵艦隊をせん滅しようと計画する面壁者テイラー、彼が特攻機パイロットを育成することを要請するため日本の零戦特攻隊の子孫の井上を訪れ、断られる場面、
「たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、たいした価値のある者じゃない」
なんと、ココに田中芳樹の銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーのセリフをぶっ込んでキタ!
やってくれるな!劉慈欣!! 下巻に期待。

三体II下

2022-07-30 19:21:00 | 書評 読書忘備録
三体Ⅱ 黒暗森林 :THE DARK FOREST 下 
劉慈欣:Liu Cixin
邦訳:大森望 立原透耶 上原かおり 泊功 
装画:富安健一郎(株式会社INEI陰翳)早川書房デザイン室

三体の読後感は このように重厚長大な映画のエンドロールのようなスタッフ、関係者の名前をリスペクトしながらゆっくり浸るのにふさわしい

未読の方にとっては海外の しかも馴染みの薄い中国からの難解で本格派のSF大作だと思い込んで手を出すことに躊躇されているのだと思う 勿体ないことだ。

この上下巻に(プラス前作序章の分を含めれば三巻分だ) 
謎また謎の迷題を解きほぐす謎解きのミステリ、
運命の女性との出逢いと別れ、の恋愛ロマンス、
共産党社会での半沢直樹的な政治駆け引き、
ハードボイルドな史強兄貴との男同士の友情、
銀河英雄伝説かガンダムのような宇宙艦隊バトル、
デスノートやカイジのような腹の探りあい騙し合いの頭脳戦、
さらにサピエンス全史とサイエンスネイチャーなどの最先端科学の集中講義的な知的興奮、

それらがギュウギュウに目一杯に詰め込まれている。
拡げた風呂敷も ばら撒きまくった伏線も 見事に
ラスト二小節でクライマックスとハッピーエンド?に収束されてゆく小説的サービス精神も充分だ。

確かに読者も全力のフルコースを食べ切るだけの健啖力が必要なのだが、それでもこの作品のポジションは揺るがない。読み終えた後にどっと疲れるかもしれないがこの疲労感と満足感こそ本読みの醍醐味とでもいうものだ。







三体II 上

2022-07-30 14:21:00 | 書評 読書忘備録
三体Ⅱ 黒暗森林 :THE DARK FOREST 下 
劉慈欣:Liu Cixin
邦訳:大森望 立原透耶 上原かおり 泊功 
装画:富安健一郎(株式会社INEI陰翳)早川書房デザイン室

この作品の読後感は、暗黒森林じゃなくて黒暗(くろ餡みたい・・)森林、とか茶化している御仁は、本書の終盤でようやく開示される黒暗森林理論に結構なショックを受けるかもしれない・・ 

昨今の人権絶対尊重主義とかSDGSエコロジー型社会とかボランティア共生社会とかセーフティネットとか・・・・(いくらでも出てくる出てくる)いわゆる耳障りの良い、ポリティカルコレクトネスばっちりの御言葉の数々が実は上っ面だけの張りぼて単語であったり、逆にコレらがヤツらの内面深層の邪悪で無慈悲な実体を隠蔽欺瞞するための標榜に見えてくることだろう。

果たして、これから読む貴方が、読了後にどのように感じるか、は貴方次第だが、ほとんどの人が間違いなく、本書上下巻の興奮歓喜の読書体験の果てに一抹の寂しさ、現実の無常感を味わっていたとしたら、その源泉はこの黒暗森林理論なのだろうと思う。