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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
彼もキヨヒメが彼を待っていたように、高徳の僧になることを念じ続けていた男だ。人は夢があるから魅力がある。そんなことはアンジンは百も承知だったのだろう。キヨヒメは可愛いし美しい。それに、そのころは今のじゃじゃ馬とは違い可憐でもあった。夢も希望もかなぐり捨てて、彼女と恋の深みに陥りたい。しかしながらそんな夢を無くした生活など、乞食坊主にとって何日持つというのか。キヨヒメを乞食に巻き込むようなそんな奈落の底へは落ちこみたくはなかったのだろう。
それを避けるには彼が一人前の僧侶になる以外にはないのだ。だが、キヨヒメには、そんな心の余裕はなかったのだろう。何百日も何年も待ち続けていたのだ。放っておけば、アンジンが何処でのたれ死にをするか知れたものではない。
つづく