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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
アンジンは、キヨヒメの顔を見るのが辛かった。物乞いをしながら、あちらのお寺こちらのお寺の施しに頼るその日暮らしの生活を送っている身の上だ。その上、寺小僧さえ乗り越えることが出来ない未熟な内容の知識しか持ちえていない修業僧だ。そんな男が女と恋愛し社会的に落ち着いた生活を送れるはずがないのだ。
彼はキヨヒメを避けた。彼女が一日千秋の思いで待っているにもかかわらずだ。彼女は、国道311号のはずれの一本杉の下で旅の僧を見かけては、心をときめかす毎日を送っていた。けれども、何日経っても彼は現われない。
つづく