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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
<ドン作雑文集より>
平成初めの頃です。
キヨヒメは、それを聞くや否や、
「バナイラン、おふざけでないよ。娘の生命がかかっているというのに、結婚もクソもないよ」と、目を吊り上げて怒り出した。これがまたぞくっとするほど魅力的だった。キヨヒメも、むーみぃ姫も、結婚に対しては、偏見を抱いている。二人の神経を逆撫でする行為には違いあるまい。バナイランにしても、悪気があってしたのではないはずだ。
夫婦二人とも歳が歳だし、晴れがましく表だって案内など出せなかったのだろう。皆が集まるのでいい機会だと思い、ささやかながらも財布をはたいて、今日のご馳走を用意したに違いない。しかし、私たちは緊急呼び出しで呼び集められた者、まさかこんな場であるとは思ってもいなかった。
キヨヒメやむーみぃ姫にとっては残酷でもある。下ピー、イモンガー、タイタイ、ナカヤキ達は、酒を飲みながらでも、別に深刻な相談したって何ら違和感は感じないのだろう。私は酒が飲めないので、キヨヒメの気持は十分わかる。むーみぃ姫は悲しそうな顔をして成り行きを心配そうに見守っている。これがまた抱き締めてやりたいほど、けなげだ。
つづく