絵じゃないかおじさん

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あ@仮想はてな物語(逸話) 新益京鬼門で花咲かオッさん (1/3)

2019-02-04 09:58:12 | 仮想はてな物語 



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 * 新益京鬼門で花咲かオッさん(029)


 今日は6時起きした。
 そう、昨日紀伊半島で取ってきた桜の小枝を庭の桜に
 飾るためだ。
 天気はあまりいいとは言えないが、雨の降る心配はなさそうだ。
 あまり寒くもない。
 クーラーの中の桜の花がどうなっているか気になるので、
 そっと開けてみた。

 ショボン。
 花びらはシワシワになっていて元気がない。
 しかし、よく見てみると莟がうっすらと開きかけて
 いるものもある。
 これはもうやるしかない。
 こっそりと脚立を出し桜の木の傍にセットする。
 こちらの方はまだまだ咲きそうにもない。
 瞬間接着剤で小枝をくっつけようとした。 


 あ! 全然、役に立たない。しまった!!
 どうしよう!
 水で濡れている上に表面が凸凹なのでくっつかないのだ。
 ボンドなどを使っていたら日が暮れそうだ。


 あーあ、あさはか!


つづく



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 しばらく考えてもっと原始的な方法を思いついた。
 糸で縛ることだ。
 もともと、私には美的感覚などないものだから、
 それは見事な桜の木が、出来上がってしまった。


 Oさんは、少しは喜んでくれるかな?


 8時過ぎ、Oさんはいつもの日曜日通り起きてきた。
 普段の日は家族の世話で6時には起きている。

 「たまにはゆっくり寝てみたいわ」

 これが、Oさんの朝の口癖である。

 「桜が咲いてるよ」
 「嘘! 昨日はそんな気配もなかったわよ。どこに?」

 ウィヒヒ!

 「どこどこ」と言いながら庭に出て行った。
 すぐに、すごい剣幕で帰って来て戸を閉めるなり、
 「あんな馬鹿なことしたの、あなたでしょ!!
  いい年して何やっているの!!!」

 私の頭は、予想外の反応に狂ってしまった。
 どう対応していいかわからない。
 ちょっとは喜んでくれると思っていたのに、
 こんなことになるとは、夢にも思っていなかったのだ。


 Oさんは次から次へとスカッド・ミサイル並みの、
 言の葉を投げつけてくる。


つづく



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 彼女の言い分はこうだ。
 桜は放っておいても咲く。
 それなのに、私がけったいな桜の小枝を
 括りつけたものだから、
 元の木の莟まで、痛めつけてしまった。
 その上、見かけもよくない。
 そんなアホなことする暇があったら、
 お湯のひとつも沸かしておきなさい、
 というようなものであった。


 もっともだと思う。
 しかし、私にしても、もっとましな桜の花になる予定だった。
 花咲かじいさんのように活きのいい花びらが満開になって、
 Oさんが、「綺麗ね」と一言いってくれると思い込んでいたのだ。


 現実は、厳しーいっ。
 朝から反対にOさんを怒らせてしまった。


 「ちゃんと、元通りにしておきなさいよっ!」

 ああ、こちらは迎撃用・パトリオットミサイルを
 打ち返す元気もない。


 花開け ささやかながらの マイホーム 
   ローンは味方か はたまた敵か
                            ち ふ


                     
   この項おわり



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