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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 新益京鬼門で花咲かオッさん(029)
今日は6時起きした。
そう、昨日紀伊半島で取ってきた桜の小枝を庭の桜に
飾るためだ。
天気はあまりいいとは言えないが、雨の降る心配はなさそうだ。
あまり寒くもない。
クーラーの中の桜の花がどうなっているか気になるので、
そっと開けてみた。
ショボン。
花びらはシワシワになっていて元気がない。
しかし、よく見てみると莟がうっすらと開きかけて
いるものもある。
これはもうやるしかない。
こっそりと脚立を出し桜の木の傍にセットする。
こちらの方はまだまだ咲きそうにもない。
瞬間接着剤で小枝をくっつけようとした。
あ! 全然、役に立たない。しまった!!
どうしよう!
水で濡れている上に表面が凸凹なのでくっつかないのだ。
ボンドなどを使っていたら日が暮れそうだ。
あーあ、あさはか!
つづく
あ@仮想はてな物語 新益京鬼門で花咲かオッさん (2/3)
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しばらく考えてもっと原始的な方法を思いついた。
糸で縛ることだ。
もともと、私には美的感覚などないものだから、
それは見事な桜の木が、出来上がってしまった。
Oさんは、少しは喜んでくれるかな?
8時過ぎ、Oさんはいつもの日曜日通り起きてきた。
普段の日は家族の世話で6時には起きている。
「たまにはゆっくり寝てみたいわ」
これが、Oさんの朝の口癖である。
「桜が咲いてるよ」
「嘘! 昨日はそんな気配もなかったわよ。どこに?」
ウィヒヒ!
「どこどこ」と言いながら庭に出て行った。
すぐに、すごい剣幕で帰って来て戸を閉めるなり、
「あんな馬鹿なことしたの、あなたでしょ!!
いい年して何やっているの!!!」
私の頭は、予想外の反応に狂ってしまった。
どう対応していいかわからない。
ちょっとは喜んでくれると思っていたのに、
こんなことになるとは、夢にも思っていなかったのだ。
Oさんは次から次へとスカッド・ミサイル並みの、
言の葉を投げつけてくる。
つづく
あ@仮想はてな物語 新益京鬼門で花咲かオッさん (3/3)
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彼女の言い分はこうだ。
桜は放っておいても咲く。
それなのに、私がけったいな桜の小枝を
括りつけたものだから、
元の木の莟まで、痛めつけてしまった。
その上、見かけもよくない。
そんなアホなことする暇があったら、
お湯のひとつも沸かしておきなさい、
というようなものであった。
もっともだと思う。
しかし、私にしても、もっとましな桜の花になる予定だった。
花咲かじいさんのように活きのいい花びらが満開になって、
Oさんが、「綺麗ね」と一言いってくれると思い込んでいたのだ。
現実は、厳しーいっ。
朝から反対にOさんを怒らせてしまった。
「ちゃんと、元通りにしておきなさいよっ!」
ああ、こちらは迎撃用・パトリオットミサイルを
打ち返す元気もない。
花開け ささやかながらの マイホーム
ローンは味方か はたまた敵か
ち ふ
この項おわり
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