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MAROワールド Vol.44 “ドホナーニ Part Ⅱ” by 篠崎“まろ”史紀

2022年04月25日 | pocknのコンサート感想録2022
3月21日(金)MAROワールド Vol.44“ドホナーニ Part Ⅱ”
王子ホール


【演奏】
Vn:篠崎“まろ”史紀、小林壱成/Vla:鈴木康浩/Vc:佐山裕樹/Pf:入江一雄


【曲目】
1.ピアノ四重奏曲 嬰ヘ短調

(無茶振り演奏コーナー)
♪ ドリーブ/ドホナーニ編/海賊~花の踊り (入江)
♪ 弦楽三重奏曲ハ長調Op.10「セレナード」~マーチ (小林、鈴木、佐山)
♪ ハンガリー牧歌~ジプシー風 (小林、入江)

2.ピアノ五重奏曲第1番ハ短調Op.1

【アンコール】
♪ ドボナーニ/ピアノ五重奏曲第2番変ホ短調Op.26~第2楽章


今回MAROワールドが取り上げたのは、12年ぶり2回目となるハンガリーの作曲家ドホナーニ。「このシリーズ最大のマイナー作曲家」というコピーで開催された12年前の第1回も感銘深いコンサートだったが、ドホナーニは今でもマイナーな作曲家かも知れない。けれど前回の感銘が、今回のコンサートで曲を改めてまとめて聴いたことで一層深まった。

最初はピアノクインテット。14歳の頃に書かれた曲だそうだが、音楽の成熟度は驚くばかり。第1楽章からは、マーラーのピアノクァルテット「断章」の、熱病のような熱く気だるい空気と同質のものが伝わってきた。MAROワールドのメンバーは、「濃い」音楽から溢れんばかりの情感と気迫を惜しげもなく放出し、作品の大人びた魅力が、より一層伝わってきた。

予定されていた次の曲の前に、MAROワールド恒例の無茶振りコーナー。今回はとりわけ盛りだくさんで、コンサートのひとつの大きなパートを占めた。マロさんが出演者の本音を聴き出す楽しいトークと、ドホナーニの多彩なテイストを味わえる曲が3曲披露された。なかでもピアノの入江さんが演奏した「花のワルツ」は華やかでおしゃれな曲で、パリッとしたよく響く聴き映えする演奏によって、新たなドホナーニ像に出会うことができた。

休憩時間にはステージに蓄音機(まろさん所有?)が登場して、ドホナーニの自作自演のSP盤が披露された。電気を使わない完全なアナログでこんなにリアルないい音が聴けるのは驚きだった。


休憩の後に演奏されたピアノクインテットがまた圧巻だった。ブラームスの若い頃の作品に共通する、濃厚で歌に溢れた音楽を、MAROワールドのメンバーはがっちりとスクラムを組んで、熱い情感を湛えて、ときに椅子から腰を浮かせるほどの気合いで100%以上のエネルギーを注ぎ込んだ。それでいて、メンバーにはある種の余裕も感じられ、おしゃれな香りや色彩といった大人の味わいも聴かせる。音楽を完全に手中に収め、料理を楽しんでいる様子。

第3楽章の鈴木さんの歌心たっぷりの熱い歌にも聴きホレたし、ダイナミックなピアノパートを、ドラマチックに歌い上げた入江さんの演奏もスゴかった。とにかく5人が完全に対等に、遠慮なくパワーを出し切っていて、アンサンブルとしてここまで高い完成度を聴かせることは、なかなかできることではない。それが出来てしまうのがMAROワールド、大いに期待して出かけて、その期待を更に上回るコンサートになるのがMAROワールドだ。

おかげで、ドホナーニという馴染みの薄い作曲家の素晴らしさを改めて認識することができた。ドホナーニの3回目にも期待したい。

MAROワールド Vol.13 "ドホナーニ PartⅠ" 2010.3.12


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