昨年の事業仕分けについては、自分が関わっていて、それなりに役に立っていると思っていた仕事が、たったの二言名前が出ただけで、他の本省事業と共にまとめて蓮舫さんに否定されて「事業廃止」となってしまい、それを受けて残務・立ち下げ業務のみ実施と言うことになったものの、後任を廻してもらえず、本来は今年の3月に帰還予定だったはずの地方勤務が帰還無期延期、そんなこんなのストレスが溜まり十二指腸潰瘍で倒れてしまう、と散々な目に遭っています。まあ、私はまだ戻るところがあるだけマシですが、地方公共団体から出向で来ていただいている人以外は、最終的には解雇しなければなりません。更に、私のところではないですが、付き合いのある方の中には今年度継続雇用されずに3月末で雇用終了になった方もそこそこいらっしゃいます。
とは言っても、事業仕分けの結果については、鳩山前政権の話とは言え、事業仕分けの結果を「厳格に反映」すると閣議決定しており、行政府の最高意志決定として決まった以上は従うしかないと思って、仕事を続けています。
ところが、「はやぶさ2」の予算について「経費削減(1割減)」と最後にトドメを刺した昨年の事業仕分けの結果があるのに、今回の「はやぶさ」帰還を受けて次の通りの発言が閣僚から出ています。
「はやぶさ2」予算、首相ら前向き…仕分けと逆(読売新聞)
はやぶさ後継機仕分け、枝野氏「工夫求めただけ」(読売新聞)
「はやぶさ」帰還を絶賛=蓮舫行政刷新相(時事通信)
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人気が上がったら、事業仕分けの結果をチャラにしてでも手の平を返すのか!
まあ、政権が変わったとか、昨年の事業仕分けは平成22年度予算だけなので、平成23年度予算は関係ないとか、エクスキューズを色々するのでしょう。それにしても、昨年の事業仕分けの立役者である枝野現民主党幹事長と蓮舫行政刷新大臣のコメントを聞いて、更にガッカリ。枝野幹事長からは「開発の必要性は否定しなかった」「もう少し工夫すれば、少ないお金で同じ効果を上げられるのではないかという議論だった」「成果につながることを続けることは、決して否定していない」との発言。話の全体を聞いていないのですが、何か逃げている感じ。蓮舫行政刷新大臣に至っては、「宇宙開発は私は直接担当しておらず、今一度流れを確認している」「仕分け結果を何が何でも守るべきだということではない。国民のさまざまな声は、次期予算編成に当然反映されるべきだ」との発言。「厳格に反映する」と閣議決定までした事業仕分けの結果は、そんなに簡単にひっくり返すことが出来るものだったのか!
これを聞いたら、事業仕分けの結果、職を離れなければならなくなった人や、研究が出来なくなった研究者が聞いたら怒り出しますよ。私だって怒りたいやら呆れるやら。そもそも、今は担当大臣なのだから、事業仕分けの結果を軽くする発言をするのは如何なものかと。
私個人としては、宇宙開発にはもっと予算を振り向けるべきと思っているので、この傾向は良いものの、その前に、「事業仕分け」でなぜ「宇宙探査」を評価しきれなかったのか、それは何が原因なのか、どうやったら評価出来るのかを「総括」して欲しいところです。まあ、国家戦略室が殆ど実働出来ず、グランドデザインを示せない中では、政が官を叩くのが面白いステレオタイプのただの政治ショーなんでしょうけど、その底を見透かされるようでは先は長くないかなと。
ちなみに、自民党時代に河野太郎代議士が行っていた「無駄撲滅プロジェクトチーム」ですが、あれは政府与党の自民党の政務調査会の下部組織として、「与党」が政府予算を事前に精査すると言う段取りだから与党代議士が参加していても特段のクレームを付けるつもりはありませんが、行政刷新会議が政府として行うのであれば、行政の立場を持つ政務三役ではない与党代議士が仕分け人に加わって行うのは、行政・立法・司法の三権分立の観点から行くと些かおかしいと言うのは、先に指摘しているところ。もし代議士を入れるなら、自民党方式を踏襲するか、立法府の各委員会で与野党を含めた委員会構成代議士が参加して行うべきではないのかと思います(つまり、国会の委員会審理を、時間をかけてきっちりやれと言うこと)。行政府で行うのであれば、国民からの公聴機能に徹して政務三役以外の国会議員は関わらず、仕分け人は裁判員制度と同様に国民からの無作為抽出で選び、それらの人たちに理解してもらうよう行政側の人達が説明する、と言うスキームの方が良いと思います。
それにしても、55年体制の影響なのか、政権交代しても、つくづく日本は行政府と与党が一体化した与党独裁政権という感じが強いですね。それを選らんだのは投票者だから、甘んじて受けなければならないのですが、とほほほほ・・・。